『ぼくの孫悟空』50点(100点満点中)

あまり手塚らしさは感じない、平凡なこどもアニメ

手塚プロ、6年ぶりの新作アニメ。西遊記を、比較的忠実にアニメーション化した作品である。

本作は、説教臭さの無い、ただ純粋に悟空の大活躍を描いたアニメとなっている。長大な原作を、わずか90分にまとめているわりに、案外無理無く感じられるのは、あまりに有名な話だからか。

ドラマに伏線がないので、話が平坦である。まあ、小学生くらいのお子さんとみるアニメなので、とりわけそれがマイナスという意味では無いのだが。

他の劇場用ジャパニメーションに比べると、戦闘シーンなどの背景にコストダウンのあとがみられ、迫力が劣る。テレビアニメよりは多少いいかな、という程度の仕上がりである。

主人公の孫悟空の声は、優香が演じる。これは、プロがやってるのかな、とおもうほど、全く違和感がなかった。これが才能というやつであろう。彼女に比べると、もとSPEEDの今井絵里子は、少々演技力の面で難有りだ。ただ、優しい女性キャラクター役のイメージにはピッタリ合っている。

一つ気になったのは、劇中に多数出てくる中国語の単語である。これは、音だけでは大人でも理解しにくい。おそらく、子供たちにはなおわかりにくいだろう。とっつきにくいイメージを与えなければ良いのだが。

まあ、子供向きアニメとしては平凡なレベル、という事で50点。『トレジャー・プラネット』は80点だが、同じアニメとはいえ、あちらは大人の目で見ての80点。この両者に30点以上の差があることは、言うまでもない。



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