『サマー・ヌード』60点(100点満点中)

前半のマンガな展開についていけるかがカギ

沖縄を舞台に送る、個性的な群像劇。若き飯塚健監督が、沖縄中を金策に走って完成させた、初監督作品である。

マンガチックな設定と、ナンセンスな笑いで突っ走り、最後にシリアスな見せ場を作って泣かせる、というパターンである。よく、池袋グリーンシアターあたりでやってる、小劇団の演劇みたいな展開のドラマだ。

この監督は、24歳という若さだが、妙にじじむさいセンスの映画である。さらに、前半のあまりに馬鹿馬鹿しく、わざとらしい展開に、多くの方が脱落しかかるであろう。

しかしながら、終盤の意外なシリアスさは、そこまでの展開との対比が鮮やかで、素直に泣けてしまうのである。監督氏は、これがやりたかったのか、なるほど……と思いつつ、いい感じになれる。ただ、その後にくっついている数10分くらいが、むしろ蛇足ではないかと私は感じた。

ブルーハーツ等の曲もこの映画にぴったりだし、警官役の泣き演技など、心に残る名場面もいくつかある。ただ、運命についてのテーマなどは、少々子どもじみていて、要らないと感じた。もっと安直に、単なるエンタ作にすれば良かったと思う。

それでも、『サマー・ヌード』は、邦画の中では、まあまあな方である。今週の並いる大作の中では、あまりに押し出しが弱いが……。なお、『サマー・ヌード』とはいっても劇中にヌードは出ないので、どうしても裸が見たい方は同日公開の『デッドベイビーズ』をどうぞ。



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