『EX エックス』50点(100点満点中)
スポーツシーンは面白いが、それを見るだけの映画にとどまっている
エクストリーム・スポーツを題材にしたアクション映画。各スポーツのトッププレイヤーを集めた、本物のスタントシーンが売り物。
ストーリーはおまけ程度なので、期待は無用。スノボーとスキーを中心とした、(CGではない)本物のアクションのみを楽しむ映画である。
ただ、そうはいってもアクション映画にとって、ストーリーは意外に大事なものである。いくらアクションシーンが優れていても、ストーリーに上手に組みこまれていないと、観客の驚きや興奮は高まらない。そう感じた経験が、この手のアクション至上主義映画を見たことがある人には、誰しもあるだろう。
『EX エックス』も、その落とし穴にずっぽりはまっている典型である。それぞれのアクションは、相当高度なものであるというのはわかるのだが、大した脈絡もなくそれらのシーンがつながっている構成なので、いまいちエキサイトできない。
『EX エックス』を見ていると、「どこまでが特撮で、どこまでが人間による本物なんだろう?」という、その区切り点が気になるばかりで、映画にのめりこむという、娯楽映画本来の楽しみが得られにくいのである。
これは、言い方を変えると、「もしこのアクションが偽物(特撮)だったら、価値は落ちるなぁ」という雰囲気に、観客がなっているという事である。
結局、いかにアクションですごい事をやっていても、それだけで90分間持つほど、劇場は楽な場所ではないということだ。『EX エックス』は、いつか来るテレビ放映時に、「あたし洗い物しちゃうから、次のアクションシーンが始まったら呼んでね〜」という見方を、視聴者にされる恐れがある。テレビ映画ならいいだろうが、劇場用となると、これは少々悲しい話だ。