『ソラリス』40点(100点満点中)

ハリウッド製にしては観客を選ぶSF映画

1972年にソ連で作られた『惑星ソラリス』という作品のリメイク。『タイタニック』のジェームズ・キャメロンが製作し、『エリン・ブロコビッチ』『オーシャンズ11』といったヒット作を連発するスティーブン・ソダーバーグが監督したSF作品。

72年版を見た人ならわかると思うが、SFといっても、『スターウォーズ』や『スター・トレック』といった娯楽作品とは一線を画する。アクションやVFXの見せ場はほとんどなく、哲学的なテーマを静かに描く、地味な作品である。

主演はジョージ・クルーニーで、死んだはずの妻が目の前に現れ、さまざまな葛藤に悩む男を熱演する。

全体的に、スローなペースで話が進む上、宇宙のシーンでは常にボボ〜という重低音が流れているため、眠くなる事必至だ。

前作の熱烈なファンにはおそらくボロクソに言われるだろうし、キャメロンが作ったハリウッド映画という事で観に行った客にも文句を言われそうで、かなり難しい。

この映画を楽しめるのは、オリジナルと原作に対する思い入れが強すぎない人で、ジョージ・クルーニーと宇宙船という、みかんと牛乳並に合わない組み合わせに耐えられる人、そして、前夜にしっかり睡眠をとった人である。

人を選ぶだろうが、感動する人は壮絶に感動しそうな作品。さて、あなたはどちらであろうか。



連絡は前田有一(webmaster@maeda-y.com 映画批評家)まで
©2003 by Yuichi Maeda. All rights reserved.