『キラーズ KILLERS』65点(100点満点中)

個性を感じられる短編ガン・アクション集

月刊『GUN』誌という、鉄砲マニアな方が購読する雑誌のライターが主宰した、自主映画コンテストに応募した中から、骨のある新人を2名選んで、押井守らと共に5本の短編オムニバスとして製作したガン・アクション映画。

各20分の短編は、600万とも400万ともいわれる統一の製作費を割り当てられ、各監督がその制限の中で趣向を凝らした。

こうした低予算短編集を見ていると、中には「この10倍の製作費を預けてみたい」と思わせる才能を時折見付けられたりして、楽しいものである。

すべてDV撮りだが、作風もそれぞれ違い、個性がしっかり出ていて楽しい。中でも、4本目の、河田秀二監督・脚本『KILLER IDOL』は良かった。

これは、第三舞台の大高洋夫が主演のドタバタコメディだが、すでに3本の作品を見た後ということもあってか、こちらの気分も乗っており、爆笑の嵐であった。逆に、最後の押井守の作品(実写)の内容は少々安直であった。

『GUN』誌のコンテストが関わっているだけあって、銃に関するシーンの力の入れようは相当なもの。へっぴり腰で片手撃ち、という、邦画に良くあるインチキさは見られない。何しろこの『キラーズ KILLERS』のオープニングは、フルメタルジャケット弾(主に軍隊用の貫通性の高い弾丸)を、ダムダム弾(主に警察用の、貫通性が低く殺傷力の高い弾丸)に改造するシーンから始まるのだ。マニアックさが窺い知れるというものである。

とはいえ、女子高生役まで、完璧に銃を構えているというのは行き過ぎだと思うが。まあ、こだわりは感じられるのだが。

登場する銃もまた凄い。リサーチアーマメント・インダストリーズ・モデル500……などといっても、ほとんど誰もわかりゃしないのだが、ほかの映画ではあまりお目にかかれないような銃が、どんどん登場する。そういうのが好きな向きにはたまらないであろう。

ただ、こうしたディテールへのこだわりは、あくまでマニア同士という内輪向けのレベルに止まっている。その豊富な銃の知識を、映画の面白さという面に生かし切っていないところが残念だ。

それでもこの『キラーズ』には、『KILLER IDOL』という良品があるので、ごく普通の人々が見ても、そこそこ楽しめると思う。短編オムニバスというものには、小気味よく時間が過ぎる面白さがあり、気軽に楽しむ事ができる。たまにはこうしたアクション映画を見るのも良いものだ。



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