『ブロンドと柩の謎』60点(100点満点中)

ゴージャスな40年代セレブたちによる殺人劇

実際におきた事件であり、今もって真相が闇の中という、ハリウッド最大の謎「オネイダ号事件」を描いたミステリー・ドラマ。

登場人物は、1942年当時の有名人、チャーリー・チャップリンや新聞王W・R・ハーストなど、そうそうたる顔ぶれ。舞台となる客船では、私のような最下層庶民からは想像もつかない、豪華なパーティーが開かれる。

そして、そのパーティである人が殺されるのだが、被害者の名前はマル秘事項なので、ここでは書けない。その殺人事件の真相を、映画はズバっと描くのである。

現実では、当時の船客全員が全く口を割らなかったため、事件の真相は今もって謎である。ただ、映画を見る限り、さもありなんなオチであり、非常に興味深く見れる。オネイダ号事件を良く知るものも、知らない者も、リアリティのあるミステリとして、十分に楽しめるつくりになっている。

実話ベースの話なので、作りもののミステリと比べれば、確かにオチのキレはゆるめだが、「ふーん、こんなことがあったのね〜」って感じに、114分飽きずに見れる。

ゴージャスなファッションを含む、美術がすばらしいので、まるでアガサ・クリスティの小説のような、クラシカルなミステリの世界に没頭できる。当時の上流階級の華やかさ、権力渦巻くドロドロの世界を垣間見ることができる。

どちらかといえば、中年くらいの方に向く、上品なドラマと言えるだろう。主演のキルスティン・ダンストもかわいらしい。



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