『略奪者』50点(100点満点中)
ひねった邦題は良いが、内容はフランス的なヘンさがある映画
砂漠を、ワルどもが大型トラックでただひたすら走るという、フランス製クライムムービー。
自然光を中心としたコントラストの強い画面は、とても乾いた印象がある。横長のシネスコサイズでみると、より殺伐とした印象のある映画だ。
全編砂漠が舞台。撮影は、砂漠のハリウッドこと、ワルザザートで行われた。ここは、『ハムナプトラ2』や『ブラックホーク・タウン』でも使われた事で知られる。
カーアクションが売りの映画だが、「大型トレーラーじゃ、どうせチンタラしたアクションだろ」と思うなかれ。
こんな巨大な車なのに、斬新な構図と演出で、非常にスピーディなカーチェイスシーンを見せてくれる。さすがは、『ボーン・アイデンティティー』でローバー・ミニがパリを賭け抜けるシーンを担当したチーム(シネ・カスケイド)が手がけただけの事はある。音楽も画とピッタリで、見応えがある。
だが、ハリウッド製のカーアクション映画とは、180度向いている方向が違うので、注意が必要だ。やたらとかったるいし、メリハリの無いダラダラした展開は、ごく普通の日本人の客層向きとは言いがたい。あちら独特の、妙ちくりんなユーモアのセンスも、ついて行ける人を相当選ぶだろう。