『ダブル・ビジョン "双瞳"』50点(100点満点中)
道教に興味のある人ならもっと楽しめる
道教をテーマにしたオカルト・スリラー。
道教をモチーフにした奥行きのある背景世界を持ち、マニア心をくすぐるちょっとした仕掛けが随所にしかけられている。そうしたディテールを拾って、おのおのが解釈を楽しむという、エヴァンゲリオン的な楽しみ方をするリピーター狙いといったところであろう。
しかしながら、日本人は道教なんて知らないよという時点で、本作の敗北は決定している。必死に解説本などを同時販売するなどして、宣伝をてこ入れしているが、どこまで効果が上がるか。私はかなり悲観的である。
片目に瞳が2つあるという、不気味な赤ん坊や、死を恐れない新興宗教など、ホラーとしてのおどろおどろした要素はしっかりと持っているが、本作最大の魅力である、”細部のこだわり”が、やはり多くの日本人にはわからない。
少なくとも、リピートしたいとは思うほどの魅力があるかどうかは微妙だ。むしろこれは、何度観てもわからない種類のわかりにくさだと思う。
映像も音楽も国際レベルで、ちょっぴり意外なラストも、それなりに頑張ってはいるが、これを楽しめるかどうかは、あなたが、攻略本がないとクリアできないゲームを好きになれるかどうかというところにかかっている。Yesなら『ダブル・ビジョン』を楽しめるかもしれない。
私としては、この映画のような謎は、ただ意味不明というだけであって、好奇心を引き付ける魅力に乏しいと感じる。道教によほど興味がある人ならいいかもしれない。