『ギャングスター・ナンバー1』30点(100点満点中)

ファッションなどのディテールを楽しむ映画

老境に入ったギャングが、自分の半生を振り返る回想ドラマ。若き日のギャングスターが、クールなボスにあこがれ、悪の道をのし上がって行く様子が描かれる。その前半はやや退屈で新味や意外性が無い分、あまり面白くない。

美術にはかなりこだわっており、ギャングたちの60年代ファッションは、とてもカッコいい。ボスの部屋の調度品のデザインも素敵で、あの座りやすそうな椅子は、私もちょっぴり欲しくなった。

本作は、そうしたレトロ趣味の調度品や、60年代のスーツ・ファッションや家具、車などを見て楽しむことができる映画である。そうしたものに興味が無い場合、映画自体への興味を持続させるのも難しくなりそうだ。

『時計じかけのオレンジ』のアレックスを演じたマルコム・マクダウェルは、ジジイになっても相変わらず、どこか狂気をたたえた目をしており、さすがの風格がある。

また、暴力を受ける人間の視点のカメラは、まばたきまでも再現しており、そこにはなかなか新鮮味を感じられる。こういう試みを、もっと早く出してくれればまた評価も変わったと思うのだが。

役者の狂気を感じさせるという点では、まあまあ成功していると思うが、それでも全体的に見れば、いまいち目を引く要素が少ないという印象だ。



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