『発禁本』30点(100点満点中)

宣伝会社によるネタバレが痛い

サディズムの語源ともなった、マルキ・ド・サドの半生を描いたドラマ。彼と、この時代に興味がある人向けである。

1番の見所は、女優さんが体当たりで演じる処女喪失シーンである。

ロスト・バージンが見所の映画なんて、上野のポルノ映画館とこの映画くらいなものかもしれないが、全編を通してみれば、そんなに裸が出てくるわけではない。

ただ、その喪失シーンでは、女優さんのおわん型(推定Dカップ)のオッパイや、ふわふわのヘアまで丸見えで、男優さんがモロにアソコを舐めてるのが分かるくらい、直接的な描写をしているが。

こんなことばかり書くと皆さんは、実名出してる真面目な映画批評家のくせに、お前の文章はエロ描写ばっかりじゃねえか、と思うかもしれないが、思い出すのは、そんなシーンばかりなのだから仕方がない。

ところで、この処女喪失についてだが、チラシやポスターで、重大なネタバレをし過ぎである。ある程度有名な話とはいえ、そこを言ったら、興味の大半は失われるという事実が、堂々と書いてある。それさえなければ、私だってもっと楽しめたのに。映画がサドについて、女性への思いやり溢れる男という形で描写していたのは、すべてそのシーンでの彼の心理を客に分からせるためなのである。なのに、事前にそこをばらしたらダメである。

宣伝のコムストックさんは、『アレックス』(2003年5月現在、今年ナンバー1のオススメ映画)のときも、重大なネタバレを宣伝文に混ぜていた前科がある。お客さんのためにも、今後は気をつけてくださいよ! と、私前田は、この場でいっておきたい。

サドが、どうしてあんな事をしたのか、それを観客に問いかけるというのが、この映画最大の見所だったはずなのだが、実に残念である。

まあ、GFが浮気すると、嫉妬しつつも興奮するような、元々変態である私にしてみれば、そんなサドの行動自体にも、全然意外性など感じず、「へ〜そうなの、でも当たり前じゃん」くらいにしか思わなかったのであるが。



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