『8 Mile 8マイル』65点(100点満点中)
ラップの魅力が良くわかるクールな一本
アメリカではカリスマ的人気を誇る白人ラッパー、エミネム主演のラップ映画。あちらじゃ、入場にすごい行列を覚悟しなくちゃならないほどの好評判だ。
アイドル映画的な側面も強く、エミネム君のハンサムな顔と素敵な声、見事なラップテクニックを堪能を十分に堪能できる。あとオマケに、かわいい女優さんとの対面立位シーンまで見れてしまう。
私は、ことさらラップミュージックのファンというわけでは無い。聞いてる分には楽しいが、正直今まで、ラップのどこがどう面白いのか、イマイチ良く分からなかったという部類にはいる。
しかし、この映画を見て、ラップの魅力と言うものが、はじめてわかった気がする。もちろん、勝手な勘違いという可能性もなきにしもあらずだが、それでも出演者たちが、なにやらとても楽しそうな遊びをしているなぁ、というのはよくわかる。さらに、ラップってのはかなり知的な音楽だと感じた。
この映画では、『ラップ・バトル』というものが地下の怪しげな場所で開催され、それにたくさんのアマチュアラッパーたちが参加するが、これが実に面白い。いかに言葉をテンポ良く、韻を踏んでつないで(俳句みたいなものか)、相手をけなすか。観客の受けを取るか。それで勝負が決まるのである。
ラップ・バトルが、本作の最大の見せ場だから、本来は一見英語が出来ないと面白さ半減という気がするかもしれないが、字幕の出来がいいので、英語がダメでもかなり楽しめるのは意外な収穫。
それでも、出来るかぎりエミネム君のしゃべる、英語の方を聞いていたほうが面白いとは思うので、ヒアリングをがんばる事をすすめておくが。いずれにせよ、とても爽快な映画だ。エミネム君が、とても感情移入しやすい、性格のいい男の子を演じているというのも大きい。母親役のキム・ベイシンガーに思わず感情移入してしまう女性たちも多いのではないだろうか。
ラップ音楽を中心とした、あちらの若者文化をいろいろと知れる楽しみもあるし、ラストも安直じゃない所はいい。貧しい町を描いているのに、全然貧乏臭さが無く、カッコいいとすら感じるというのもさすがである。