『プルート・ナッシュ』30点(100点満点中)

チープなSFコメディでも製作費は大作並

アーノルド・シュワルツェネッガーの『トータル・リコール』を、思いっきりチープにしたような雰囲気のおバカ系SFコメディ映画。しかしこれ、じつは製作費が一億ドルもかかっている。たぶん、その99%くらいは、主演のエディ・マーフィーの出演料で、残りの1%がCG工房の社員達のコーヒー代だと思う。

……などと軽口をたたきたくなるような、不思議系の奇妙な作品だ。内容はおバカなコメディだが、CGなど特殊効果関係に手抜きは無く、こんなバカっぽい映画になぜそこまで……といいたくなるような手間のかかった事をやっている。

昔の黒人映画でおなじみの、タランティーノも敬愛する女優パム・グリアーが、エディの母親役に扮するのがひとつの見所。肝心のエディ・マーフィーは、もちろんエディ・マーフィーを演じる。『I・SPY』でも『48時間』でも、彼はたしか同じ役であった。いや、それぞれ役名はあったかもしれないが……。

そんなわけで、見た目と中身のギャップが激しすぎる『プルート・ナッシュ』は、その年の最低映画を決めるゴールデン・ラズベリー賞に、何部門もノミネートされた栄誉ある作品である。見ていると、あまりのバカらしさに涙が出てくるであろう。

ただ、SF映画オタクにとっては、いろいろとたまらないガジェットや、パロディネタが満載でとても面白いはず。そうした一部のマニア向けの、SFコメディ映画。なかなかの珍作だ。



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