『ブリー "BULLY"』40点(100点満点中)

アメリカのバカ若者の生活ぶりを見る映画

1993年7月14日、南フロリダで実際に起こったティーンによる殺人事件を映画化した、問題の作品。

これは、日本で言えば「サカキバラ事件」を映画化するようなもので、まだ遺族などの関係者が多数いるだろうに、よくこんなかたちで映画化できたものだと驚く。アメリカってのはヘンな国だ。

いわゆるリアル風フィクションとはいえ、実名で多数の犯罪者が出てくるわけで、被害者の遺族や関係者は、とても正視できないだろうなと思わせる。

内容を一言で言うと、バカ若者の話。彼らは、一人殺してから、やっとまともな思考になる。

エロシーンもヌードもたくさん。車の中で、普通に4Pしてるのをみると、誰もがなんなんだこいつらはと思う。手持ちカメラで、等身大の若者を臨場感たっぷりに描く演出だ。

それにしてもこの映画、『こういう事件がありました、どうですか?』以上突っ込んでいない。わざわざ実在の事件を描いたためなのか、妙に及び腰だ。エロシーンが無ければ、あまりに退屈で仕方がない。

ただし、若者俳優の演技はみなリアルで大したもの。とくに重要なリサ役の演技など、自然すぎてもはや演技とは思えないほど。ちなみに途中から仲間がワサワサ増えてくるので、誰が誰だか、判別が困難になる。お気をつけを。

タイトルの『BULLY』はいじめっ子の意味だが、いくら現代っ子でもこんなバカは例外だと信じたい。ドラッグ蔓延のアメリカ人なら普通だよ、といわれたら本気で怖い。

エンドクレジットの最後には、ちょっとした話が残っている。これは必見だから、本編が終わっても絶対途中で帰らないように。ここまで見て、映画は完結するって感じだから。



連絡は前田有一(webmaster@maeda-y.com 映画批評家)まで
©2003 by Yuichi Maeda. All rights reserved.