『ぷりてぃ・ウーマン』60点(100点満点中)
オバサンたちの演劇初挑戦を描く人情ドラマ
笑って泣ける、一般向けファミリードラマ。
カメラが中々いい。望遠を多用し、映画らしい奥行きある風景を作っている。見ているだけで飽きない、視覚的快楽を与えてくれる。
基本的に前半に吸引力がなく、期待して見に行く観客をなかなか引っ張ってくれない。セリフは大げさでわざとらしいし、だからこそ俳優の演技も嘘っぽく見える。舞台劇としてはちょうどいいが、映画としてはどうか。
ただ、後半に入るとエンジンが回り、人情ドラマで上手い事泣かせてくれる。ババァ達が健気、一途でとってもいい感じなのである。後半がいいと、アレだけダメな前半でも、見終わった印象は良くなるものだ。笑いも快調で、コメディとしても乗ってくる。
ただ、ある人物が死ぬシーンが唐突過ぎる。せめて何かしらの伏線があれば納得もいくのだが、映画の進行のためだけに死んだってな感じがする。そのあたりが不器用で、スマートではない。
ラストも冗長で、潔さがない。練習してきた演劇を上手く終えて、ぱっと終わらせたほうがよかった。
全体的にはやはり年配向きで、ちょっと古くさい演出が漂う。若い人に見せようという気は薄いようだ。その点を納得して見に行けば、案外面白い映画だ。