『カントリー・ベアーズ』70点(100点満点中)

ディズニーランドのアトラクションそのもの、サントラが最高

ディズニーランドの同名アトラクションの映画化。カリブの海賊やホーンテッド・マンションなど、映画化を予定されているディズニーランドのアトラクションは数多い。ハリウッド映画界のちょっとしたブームといえよう。

クマさんたちが、アメリカ中を旅しながらカントリー・ミュージックを演奏する、ほのぼのしたミュージカルである。家族愛や友情といった定番のテーマを描き、最後にはほろっとさせるという、いかにもハリウッド的な、王道の一本である。

サントラがとにかくいい。私は、あまりにこの映画の楽曲が気に入ったので、いまだにCDを何度も聞いている。

具体的には、カフェのお姉さんがお客さんを巻き込んで踊り出すシーンと、トラックを賭けてバイオリンVSギター対決をする場面がおすすめだ。こちらも踊りだしたくなるほどノリがよく、私はとても気に入った。

カントリーとはいっても、そればかりではなく、ロック調のアレンジやもの悲しいメロディの曲など、バラエティに富んでおり単調さは全く無い。とてもセンスがいいし、踊りも楽しい。 アカデミー賞を取った「シカゴ」より、楽曲はバラエティに富んでいる。

シナリオにも、しっかり伏線が張ってあり、適当に作ったという感じもしない。映画的文法をちゃんと守った、好感が持てるストーリーになっている。ただ、満足度が多少少なめなのは、ギャグが笑えないの一点にある。また、クマが人間社会に混じっているこのメルヘンチックな設定自体にアレルギーがある人は、この映画自体がダメだろう。

ではどういう人に向くかといえば、ディズニーランドのショーが大好きな人。この映画はまさにディズニーランドのアトラクションそのものなのだから。

素晴らしい音楽と手馴れたカメラ、ダンスと歌。これぞまさにアメリカの文化。こういうものを作らせると、アメリカは本当に上手いと思う。エンドロールのあとにもう一幕あるので、最後まで席を立たぬようご注意を。



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