『ベッカムに恋して』55点(100点満点中)

ベッカムもワンシーンだけ出る

インド系のパーミンダ・ナーグラ主演の青春映画。いきなりだが、ひどい邦題だと思う。まあ、確かに主人公の女の子の憧れの人はベッカムだが、別に彼に恋しているってわけじゃないと思うのだが。実際別の男との恋愛沙汰もあるわけで。

まあ、それはいいとして、この映画はかなりサッカーシーンに力を入れている。新アイデアの撮影機械を使った、超ローアングルの映像は、なかなか新鮮で、最初に見たときは「おやっ」と思う。

迫力もあるし、いい絵だと思うのだが、少々これに頼りすぎている。多用しすぎなので、こちらの目がだんだん慣れてくる。俳優にサッカーのテクニックを教えるのは大変だと思うが、やはりボールを蹴る瞬間のショットが無くては迫力は出ない。インパクトの瞬間にシーンが切り替わってしまうと、客としては欲求不満になる。

ドラマの方は、いまいち人間が描けておらず、恋愛部分もとってつけたような印象。性差別問題も、民族差別問題も扱っているが、あまり深く突っ込んではいない。つまり、気軽にみるべき映画といえる。

この映画最大の収録は、なんといっても友人役のキーラ・ナイトレイだ。ほがらかで明るい性格、かわいらしい笑顔、そしてヌードも辞さないプロ意識をもった彼女は、その後人気実力ともに大きく成長した。その最初の一歩を見るために、本作を選ぶ人も多いだろう。

余談だが、私の見た試写は音が悪く、字幕もみずらかった。公開版ではこの点が改善されていればいいのだが。



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