『シカゴ』70点(100点満点中)
ガチンコの歌と踊りが見所だ
アカデミー6部門を受賞した超話題作。でも実は、1度も全米興行チャート1位になってないという、不思議な作品。有名なブロードウェイ・ミュージカルの映画化である。
見所は、やはりきらびやかなミュージカルシーン。でも、案外ドラマ部分も面白い。
従来のミュージカル映画と違うのは、突然何の脈絡も無く踊り出すという、あの独特の「御約束」的な演出が無い事。ダンスシーンは、基本的に主人公の妄想という設定になっている。
とはいえ、後半はそんなのどうでもいいほどのダンスシーンのオンパレード。結局従来のミュージカル映画と、印象的には何も変わるところは無い。
で、そのダンスシーンだが、俳優たちが吹き替え無しで演じている。これは評価したいポイントだ。
レニー・ゼルウィガーは、ダンスが素人なので、良く観るといつも歩いているばかりなのだが、カメラワークが見事なのでほとんどそんな事を気づかせない。歌も下手っぴだが、声がカワイイので、ちゃんと聞ける。いい感じだ。
圧巻はキャサリン・ゼタ・ジョーンズで、彼女のダンスと歌は本物だ(舞台経験あり)。いつも泣いてるようなヘンな顔のレニーと違い、360度どこから見ても超美人のキャサリンは、「私ってキレイでしょ!」といわんばかりの、ものすごい自信満々な様子で踊りを披露する。完全開脚とかもやってるし、本当にカッコいい。これを見て私は、なんとなく以前デミ・ムーアがストリッパーを演じた映画を思い出した。キャサリンのは、あんな感じのマッチョなダンスである。
で、1番違和感バリバリなのが、リチャード・ギアのダンスである。あのダンディなイメージの彼が、笑顔で踊って歌うというのはあるちょっと不気味だ。
しかし、彼もじつは舞台でミュージカルの経験があるそうだ。人の過去はわからないものである。
楽曲はどれも印象的で、いい曲が多い。エンドロールのBGMでたくさん聞けるから、最後まで席を立たないほうがいいかもしれない。