『星に願いを。』40点(100点満点中)
映像はいいが、展開がうそ臭くてのめりこめない
竹内結子と吉沢悠という人気タレントが主演のラブロマンス。香港のアカデミー賞3部門を受賞した「星願(セイガン)」という作品のリメイクで、日本風にアレンジしたと言うのは製作会社の弁。
この映画は、カメラがいい。北海道・函館オールロケだそうだが、たしかに函館の街を非常に美しく撮っていて、その点は美点である。
構図も凝っていて、ポイントでは俯瞰を使ったりと、健闘している。恋愛映画でカメラがダメだったら、それだけで私はダメ映画認定といくところだが、『星に願いを。』についてはその心配はない。ファンタジックなムードを上手く出していて綺麗だ。
音楽も、ハーモニカを印象的に使うなど、限られた予算の中で工夫したな、という様子が見られる。まあまあだ。キスシーンは下手っぴだが、主演の二人の演技もまあまあだ。吉沢悠は、前半は盲人の演技を頑張っている。
ただ、美しい構図を撮りたいために脚本的に無理をしたな、と感じる部分はある。特にラブシーンなど。
こうした点を含め、どうしてこう無理のある展開にするのだろうという感想は否めない。
これはファンタジックなラブロマンスだから、多少強引だろうがなんだろうが許すという心構えで見ていたのだが、それでも途中からこれが原因でさめてしまった。
いくら自分の正体がばれたら消えてしまうといったって、どうせ最終日なんだから、Hくらいしときゃいいじゃんという、至極もっともだと思われる疑問すら、私は心の奥深くにしまってみていたのである。それでもダメだったのだ。
セリフも下手だ。これは演技力という意味ではなく、そんなセリフ、普通は言わないだろ?という、脚本家のセンスの問題である。
登場人物たちの話すセリフは、彼らの意思から出てくる言葉ではなく、制作側の都合でそのセリフをいわされ、行動している、そんなふうに感じてしまうのである。
結論としては、「泣ける映画」を目指したが、興醒めする展開のせいでイマイチ泣けない、といったところか。