「シンドバッド 魔法のランプと動く島」45点(100点満点中)
監督:宮下新平声の 出演:村中知 田辺桃子
監督の急死が悔やまれる
前作「シンドバッド 空とぶ姫と秘密の島」を私は、幼児から小学生低学年向けの映画としてはきわめて良質だということで各地でオススメした。本作はその続きにあたるが、今回の出来はイマイチである。3部作の真ん中の宿命といえばその通りだが、1作目を強く推してきた身としては、思わず肩を落とした。
魔法族の姫サナ(声 田辺桃子)たちと共にバハル号で海の旅に出たシンドバッド少年(声 村中知)は、悪神殿とから見知らぬ島へと上陸する。やがて彼らはサナの言葉を頼りに、この島で魔法のランプを探すことになるが……。
少年の独立心と母からの旅立ちを重ね合わせ、腰の重い演出で描いた一作目。だが本作は単なる見せ場の連続といった感じで、よくある単純な子供向けアニメになってしまった。
こうなると、しょせん低年齢向けだからアクションシーンはすべておとなしいし、大人は退屈極まりない。サイクロプスも恐怖感を与えることもなく、たんに顔を出しただけだし、最大のネタバレであるあの事実も、スケール感は多少あれどそれを生かした展開に踏み込むことができていない。
宮下新平監督はこの作品の公開を前に急死してしまったが、体調の悪化が作品に影響を与えていたのだろうか。いずれにせよ、シリーズ途中での死は残念でならない。
日本アニメーション40周年作品であるこのシリーズ3部作の最後は、はたしてどうなるのだろうか。宮下監督の後をだれが継ぐのか、まだはっきりしたことはわからないが、なんとかいい形でラストを迎えてもらいたい。期待して待つことにする。