「ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス」25点(100点満点中)
監督:フランシス・ローレンス 出演: ジェニファー・ローレンス ジョシュ・ハッチャーソン

手抜きな中継ぎ

空前のヒットとなったハンガー・ゲームシリーズは、放っておいても最後まで大勢がついてくるため、この3作目で相当手を抜いたダメ中継ぎをもってきた。観客もずいぶんとなめられたものだ。

闘技場から生き残ったカットニス(ジェニファー・ローレンス)は、第13地区のコイン首相(ジュリアン・ムーア)のもとで重大な事実を知る。それは独裁国家パネムに対抗する反乱軍の秘密基地が存在し、すでに決戦準備が進められているということであった。国民的人気を誇るカットニスは彼らのシンボルとして宣伝活動を担うことになるが、パネムはそれに対抗するプロパガンダとして彼女のパートナー、ピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)を持ち出してくるのだった。

ファイナルと名はつくが、「ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス」を一言で言うならつなぎにつきる。テレビ番組のロケなど長時間にわたるとき、小腹が減ったときに自由につまめるおにぎりとか、そんなものをツナギと呼ぶが、その程度の出来。食べてしまえば存在を忘れてしまうような映画である。

少年少女が生存のため殺しあうショッキングな見せ場もないし、みずみずしい交流ドラマもない。なによりジェニファー・ローレンスの弓矢アクションがほとんどない。サバイバルの恐怖と興奮もない。要するにこれまでのシリーズの売りが何一つ存在しない、たんなる中間点のような位置づけである。本来こんなものは前作の最後か次作の序盤につけ加えておしまいにする程度の内容でしかない。

それでも待望の完結編を楽しむためにはみないわけにはいかないから、客は結局足を運ばざるを得ない。そうした足元を見た商売で1800円をふんだくろうというのだから、弓矢で射抜いてやりたくなる。

再び脱いでくれるかと勝手に期待していたジェナ・マローンはじめ、キャラ立ちしていたシリーズキャラクターも使えていない。ヒロインが出ずっぱりでひたすらプロパガンダ専門ユーチューバーをやるだけの話では、とてもこの上映時間は持たない。

パートナーを奪われた主人公ジェニファー・ローレンスも、まるで大事な写真が流出してがっかりしているかのごとき浮かない顔ばかりで閉塞感を感じさせる。この点もすっきりしない要因といえる。

次回作「ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション」は今年の11月公開予定。本作だけ飛ばすわけにもいかないわけで、できる限りシネコンの割引などを使って、低予算で鑑賞しておくことをおすすめする。



連絡は前田有一(webmaster@maeda-y.com 映画批評家)まで
©2003 by Yuichi Maeda. All rights reserved.