「シン・シティ 復讐の女神」55点(100点満点中)
監督:ロバート・ロドリゲス 出演:ジェシカ・アルバ ミッキー・ローク

ヒロイン二人ががんばる

モノクロパートカラーのスタイリッシュな映像美で世界を揺るがした「シン・シティ」から9年。革新的だったビジュアルも、いまやどことなくレトロを感じさせるようになった。なかなか趣きある続編である。

荒くれ者が集う街シン・シティの癒しの女神、ナンシー(ジェシカ・アルバ)は、かつて自分を救ってくれた刑事ハーティガンの仇をうつため、密かに怒りをたぎらせていた。だがその相手、ロアーク上院議員(パワーズ・ブース)の勢力は拡大する一方で、街の腐敗も進んでいくのだった。

まず、悪党どもの中で魅力を振りまくヒロイン陣の中でエヴァ・グリーンのはじけっぷりが群を抜く。ハードボイルドな探偵ドワイト・マッカーシーをセックスで翻弄する悪女役。ヌードも辞さず、どころか脱ぎまくりで男どもを虜にする。かつての超ナイスバディも30代半ばに差し掛かり、私には断じてよくわからない分野ではあるが、いわゆる熟女ファンにはたまらないところであろう。

一方、シリーズを通じてのアイドル的存在ジェシカ・アルバも魅力たっぷり。本当は庭でオーガニックハーブでも育てて過ごしていたいだろうに、9年ぶりに過激なバイオレンス続編に引っ張り出され、場末のバーでストリップダンスを踊ることになろうとは。さぞや複雑な思いであるに違いない。

健康オタクの面目躍如か、二児の母とは思えないスタイルと童顔で、ギャップ満点のエロすぎる開脚踊りを見せる姿はド迫力である。セクシー対決ではエヴァ・グリーンの向こうを張る横綱相撲といえるだろう。そんな相撲を取る意味がよくわからないが。

もっとも、あらゆる映像を加工している本作の場合、どこからどこまで本物かはわかりゃしないのだが、それにしても映像面での魅力は前作通り。もはや安心感すら感じさせる、ああ、帰ってきたなと思わせる心地よい世界観である。ひとごろし多発の街にそんなものを感じてどうすんだという気もするが。

残酷ショットは多数あれど、エフェクトによりマンガ的になっているし、基本的には嫌な奴がひどい目にあう展開なので、それなりに街の秩序は保たれている。だからこその安心感、後味は決して悪くはない。

いくつものエピソードを組み合わせた物語からは、愛至上主義の明快なるテーマがみえてきて共感を誘う。愛がある奴らは、大量殺戮を繰り広げていても観客に不快感を与えない。それは、愛というものが問答無用の全人類共通の価値観だからか。

美しい映像とはげしい腰のふり。愛に生きる男女の情熱的なストーリーで見せる「シン・シティ 復讐の女神」は、安定感ある続編としてそこそこの満足を与えてくれる。前作の鑑賞は必須で臨みたい。



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