「サイレントヒル:リベレーション3D」50点(100点満点中)
SILENT HILL: REVELATION 3D 2013年7月12日(金)TOHOシネマズ 六本木ヒルズ他全国ロードショー 2012年/アメリカ/カラー/94分/配給:プレシディオ
監督・脚本:マイケル・J・バセット 音楽:山岡晃 キャスト:アデレイド・クレメンス ショーン・ビーン ラダ・ミッチェル マルコム・マクダウェル デボラ・カーラ・アンガー キャリー=アン・モス
3Dで例の世界観をツアー
最近の娯楽映画は続編ばかりとよく揶揄される。ヒット作なら無条件で見に行く固定客が見込めるし、話題性があるからパブリシティも楽。そうした作り手側にとっての安定志向が背景にはあるわけだが、「サイレントヒル:リベレーション3D」はちょいと異なる。
19歳になるヘザー(アデレイド・クレメンス)は、かつて父母の手によりサイレントヒルから救い出された経験を持つ。教団の追っ手を撒くため父(ショーン・ビーン)と各地を転々としてきた彼女はいまだ悪夢にうなされている。そんなある日、ついに父親が失踪。そしてあのおぞましい、サイレントヒルへ来いとのメッセージが残されていた。
日本のゲーム会社コナミによるホラーゲームを原作に、仏米加で作り上げた本作は、たしかに出来のいい一作目を持っている続編。だがその公開からは6年もたっており、先述した固定客も話題性もさほど望めない。ハリウッドのメジャー会社なら難色を示しそうな企画だが、やはりその不安を跳ね返すところまではいっていない。
監督はじめスタッフは一新。キャストは引き継いだがヒロインが18歳に成長した例の少女ということで、頑張る美人ママの物語だった前作とはだいぶ趣は異なる。
かつては守られるだけだった少女が今度は最愛の父親を連れ戻すためサイレントヒルに出向き、自らのおぞましい過去にけりをつけん、という展開。6年間も待たせた割には正直ぱっとしない脚本である。
かといって前作のように、原作しらずの人にも親切な、世界観に慣らしながら引き込んでいった腰の重さも感じない。ある程度以上の予備知識がある人向けの作りなので、中途半端に前作をみただけ、といった程度の観客には敷居が高い。
ただ、前作同様重厚で不気味な作品世界はよくできている。今回は3Dということで、観客とのシンクロ度合いもなかなか。灰のようなものがふりしきる独自のゴーストタウンは、3Dで味わう価値があろうというものだ。
期待のモンスターでは、ファン人気たぶん一位の三角頭もこれ以上ない見せ場を用意され、なるほどなと苦笑させられる。
とはいえ、凡百のホラー映画と比較して特段の恐怖見せ場があるわけでもなく、結局よくできた世界観を3Dでツアーさせる程度の内容。それはすなわち前作の貯金で食っているようなもので物足りない分部ではある。
かつてはライバルのバイオハザードを凌駕する出来と絶賛したが、できるなら第三弾は監督を元に戻し、さらに新たな驚きと恐怖、意外性を味あわせてほしいところ。