『バッド・ティーチャー』60点(100点満点中)
Bad Teacher 2012年5月19日(土)渋谷HUMAXシネマほか全国ロードショー 2011年/アメリカ/カラー/92分/配給:日活
監督:ジェイク・カスダン 脚本:リー・アイゼンバーグ、ジーン・スタプニツキー 音楽:マイケル・アンドリュース キャスト:キャメロン・ディアス ジャスティン・ティンバーレイク フィリス・スミス ルーシー・パンチ
変態キャメロン健在
もうすぐ40歳になるキャメロン・ディアスは、しかしいまだにお下劣かつセクシーキャラを演じられることを本作で見せつけた。
金目当ての婚約がものの見事にバレて、古巣の中学校教師へ復帰したエリザベス(キャメロン・ディアス)。懲りない彼女は代理教師のスコット(ジャスティン・ティンバーレイク)の実家が大金持ちとの情報をつかむと、彼を落とすための豊胸手術代を稼ぐことに奔走する。
さすがの日教組も腰を抜かす、たいへん教育に悪い不良教師が主人公のブラックコメディー。
この映画はキャメロン・ディアス演じる不良教師の魅力に笑いもストーリーも依存したものであり、彼女の作り上げるキャラクターを楽しめるかどうかがすべてである。
授業などやる気なし、教育よりもカネが目的。おっぱいをデカくするためには寄付金の着服も辞さない史上最悪のダメ教師。そうした数々の悪行を平然とやってのけるヒロインと、その件についてなんの罰も与えないブラックな脚本。まさにキャメロンのはまり役だが、成功をおさめ、お年を召してもまだこんな映画に出るあたりが彼女のチャーミングなところといえるだろう。
こういう映画は、勝手知ったるカップルが夜遅くに見に行って、大笑いしながら楽しむのが正しい。若い子にとってはいまさらキャメロン・ディアスでもないだろうから、30代以上の大人の仲よしカップルのためのデートムービーである。
数々のブラックジョークの間にはいくつかの見せ場があって、一番笑えたのは何と言ってもキャメロンによるセクシー洗車シーンである。へそ出し&ホットパンツの衣装で、その肢体をスポンジ代わりに使って車を洗いまくるこの場面。スローモーションや水しぶきを自分であびるアピールなど、確信的ベタな演出が楽しい。撮っていた監督自身も大笑いしていたそうだが、確かに楽しそうな撮影現場が想像できる。
結末が少々尻つぼみというか、小ぢんまりとしているのがたまにキズだが、こういう映画でキャメロン・ディアスを見ることもも、さすがに今後はほとんどないのではないか。下品な役をやっても嫌味がない、彼女のかけがえのない魅力を再確認できる作品であった。