「センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島」70点(100点満点中)
JOURNEY 2: THE MYSTERIOUS ISLAND 2012年3月31日(土)より新宿バルト9、梅田ブルク7 他 全国ロードショー 2012年/アメリカ/カラー/94分/配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:ブラッド・ペイトン 脚本:ブライアン・ガン、マーク・ガン 撮影:デヴィッド・タッターサル 出演:ジョシュ・ハッチャーソン ドウェイン・ジョンソン ルイス・ガスマン ヴァネッサ・ハジェンズ
テンポ良すぎ
前作「センター・オブ・ジ・アース」(08年)は、デジタル3D黎明期の作品とあってか、ぎこちないまでにそうした演出に力を入れたものであった。だがこの続編は監督もキャストも一新。新しいブラッド・ペイトン監督は、かつて「キャッツ&ドッグス」シリーズでも続編から登板、それも3Dで手がけて手堅くまとめた経験がある人物ということで、本作でも期待される。
17歳になったショーン(ジョシュ・ハッチャーソン)は、暗号解読のプロである元海兵隊の義父(ドウェイン・ジョンソン)の協力を得て、新たな冒険の地パラオへと向かう。だが目指す場所は危険すぎて、地元のガイドは誰も名乗り出ない。だが唯一、おんぼろヘリを駆るガバト(ルイス・ガスマン)とその気丈な娘(ヴァネッサ・ハジェンズ)だけは別だった。
いろいろともめ事起こして降板した前作の主演俳優に代わるのがドウェイン・ジョンソンだが、これが功を奏し、このパート2はアメリカで大ヒットした。古巣のプロレス界にも復帰した彼だが、ファミリー層に強くアピールできることを証明した形だ。
そのプロレス復帰の影響だろうか、自慢の肉体は過去最大級のバルクとディフィニッションを見せており、とくに野太い上腕三頭筋などは惚れぼれする。この映画最大の見所は、彼の豊富な筋肉と、ヒロイン、ヴァネッサ・ハジェンズの豊富なおっぱい肉である。
なお今回ドウェイン・ジョンソンは、劇中でウクレレの弾き語りも披露。この件については個人的に少々トラウマがあるが、ここでは述べない。
さて、物語の骨格は前作同様ジュール・ヴェルヌの、今回は『神秘の島』を元にしている。
可愛らしい手乗りゾウや恐ろしい大トカゲ、ミツバチに乗って飛び回る空中戦など、サイズが逆転したたくさんの動物たちの動きを3Dで楽しめる。ヴァネッサ・ハジェンズのおっぱい肉やドウェイン・ジョンソンの上腕三頭筋同様、ボリューム満点お腹いっぱいの内容といえるだろう。
こうした動きモノ達は、現代の最新CG技術からするとマンガチックな動きと造形だが、この映画は子供が見るものであるから、この程度のデフォルメがちょうど良い。
話の展開は異様に早く、ほとんど笑いが出るレベル。
たとえばドウェイン・ジョンソン演じる義父は暗号のプロで、正直なところその設定だけでも笑えるのだが、この暗号解読シーンの高速っぷりがすごい。誰も気づかないような難解な暗号もスラスラ読み解き、物語の核心というべき、もっとも困難であろうネモ船長の日記の解読でさえも、わずか1秒でおわり。
ついでにいえば、アメリカからパラオに移動するのも、死の海域に向かうのも1秒でおわり。1秒均一のルールでもあるのかというほどのインスタントぶりである。そんなわけで地球の存亡がかかっている大仕事の割には、1日で全部回れる短時間コース。秘境を舞台ににしつつも登場人物たちのトイレの心配をしないですむ、娯楽映画にはこういう作り方もあるわけだ。
面倒な謎も、パーティの誰かがいとも簡単に解き明かすかあらかじめ知っているという、見ていてストレスのない作品である。頭を使う必要がないというのも、それはそれで面白い。
大人も子供も、とにかくこのテンポのよさを楽しめばいい作品だが、一応感動の涙的なシーンも用意される。それがまた、予想もしてないところに伏線が張ってあったりする。能天気な映画のわりには丁寧な演出で、これまた苦笑してしまう。