『パラノーマル・アクティビティ2』60点(100点満点中)
Paranormal Activity 2 2011年2月11日(祝・金)シネマサンシャイ池袋/TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国拡大公開 2010年/アメリカ/カラー/91分/配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
プロデューサー:オーレン・ペリ 監督:トッド・ウィリアムズ 脚本:マイケル・R・ペリー 出演:ケイティー・フェザーストン スプレイグ・グレイデン ミカ・スロート
≪アトラクションとしてはそこそこだが≫
寝室にビデオをしかけたら大変なものが映ってました、で知られる「パラノーマル・アクティビティ」(07年)は、生産者側にとってトップクラスのコストパフォーマンスを記録した作品で、当然ながらさっそく続編の話が持ち上がった。
『パラノーマル・アクティビティ2』がそれだが、本作の前にも前作の配給会社が続編製作権を買って作った「パラノーマル・アクティビティ 第2章/TOKYO NIGHT」なる日本版の関連作品が公開されたばかり。このシリーズ自体、劇中のお屋敷同様なにやら騒がしいことになっている。もっともわが日本にはすでに「アブノーマルアクティビティ」なる作品もあるのだが、本稿で触れることはない。
空き巣の被害にあったレイ一家は、自宅内にいくつもの防犯用カメラを設置することにした。ところがその晩から、原因不明の怪奇現象に彼らは悩まされる。防犯カメラは原因究明のため使われることになったが、そこに映っていたのは……。
予算大幅アップ(とはいえまだ低予算映画の範疇といえる)、カメラは6台に増えて……ということで、そこそこ豪華版にはなったものの、基本的には自主制作っぽいチープ感が魅力の身近な恐怖映画。相変わらずいたずら好きの幽霊?は話を引っ張りまくり、ドアを開ける程度の芸で終盤まで持たせようとする。
でるかでるかと身構えていると何も出なかったり、突然台所のスプーンだのフォークだのがぶちまけられる大音響で心臓が縮み上がったりと、なんの工夫もない、知能指数きわめて低めの恐怖演出が堪能できる。
こんなのでも、ティーンエイジャーのデートにはちょうどよい。これは映画というより、遊園地かゲームセンターのアトラクションみたいなものなので、あまりうるさいことを言うのも野暮だ。
無理やり前作と関連付けた前日談のストーリーに仕立てて、あの秘密は実はこうでしたなどと言ってはいるが、はっきりいってどうでもいい。そもそも前作など、見る人のほとんどはとっくに記憶の中から忘却している。あの謎がついに解けますよなどといわれて、ほうそれはぜひ見たい、などと思う観客がどれだけいるだろう。
そもそも超常現象に理由も糞もない。どうせ誰かの恨みや怨念がどうとか、ありふれた理由に決まっている。たまには住民に一目ぼれしたとか、色気のある理由で化けて出てみろと思う。
その住民だが、これが観察に値するお馬鹿さんたちで、明らかに異常が映っているのに、ここで映画が終わっては短すぎるとでも気を使っているのか、一向に引っ越そうともしない。このほかにも、地下室探索シーンでの異様にビビりまくる演技など、失笑を買う場面が続出。数歩歩けば壁に当たるような狭い地下室なんだからもっと落ちつけよと、ほほえましくなる瞬間である。
パート3の製作どころかその先もほぼ決まっているこの人気シリーズ。ここまできたら、いっそ連続ドラマにして毎週やったらと思う。今日はこの家、来週はあの家と、突撃!隣の晩ごはんのように紹介制にしていけば、幽霊もやりがいがあるだろう。
いずれにしても、変化のつけにくいこの偽ドキュメンタリータッチは早くもマンネリ気味。今後どう続けていくのか、興味深いところである。