『オンナゴコロ』30点(100点満点中)
2009年3月7日(土)より、渋谷シアターTSUTAYAにてレイトショー 2008年/日本/カラー/100分/配給:Breath、GPミュージアムソフト
監督・脚本:松田礼人 出演:前田綾花、大浦龍宇一、田中要次、山本浩司、水橋研二

不感症の女の子の暴走の行方は

いまの時代、自分探し、しあわせ探しに悩む女性は多い。漠然とした自分の夢と、日々厳しくなる現実との兼ね合いが取れなくなれば、やがて彼女たちは欝のスパイラルに落ちていく。まじめで純粋な人ほど、うつ病になりやすいといわれる所以だ。

不感症のレッテルを貼られ、エッチの後に冷たい言葉を残して去る男たち。そんな体験を重ねたアコ(前田綾花)は、つねに感情を押し殺す孤独な女になっていた。ある時彼女は、無口なゲイのマスター(大浦龍宇一(おおうらりゅういち))が経営するいきつけのダーツバーで、ナンパしてきた男と身体を賭けた勝負をすることに。

ブルーな気分の女の子たちにぴったりな、自己肯定感を感じられる女性映画。

主人公のアコは、自己破壊衝動を行動に移す、みるからに心を病む人の典型例。彼女は撮りためたポラロイド写真を自分の代わりにバラバラにし、得意のダーツで綱渡りを始める。

歴代彼氏の愛撫で感じることのできなかった彼女は、ダーツの勝負では隣の男よりずっと正確に、望んだ場所へピンポイントに矢を刺して(挿して?)いく。そして感じる、望んでもずっと得られなかった快感を。

監督がいくつか構想していたストーリーをひとつに融合したという筋書きは、オカマが身上を語り始める後半まではやや退屈。男の観客としては、ヒロインの気難しい行動原理についても、理解はできるが共感は難しい。冒頭で彼女の相手をする男の、「(不感症って)ホントにいるんだ〜、勉強になりました。じゃ!」の名セリフじゃないが、まさしくそんな心境である。共感できなければ、ただただウザく、不快にさえ感じる。女の子が一人で見るためにあるような映画なのだから当然か。

前田綾花のヌードを期待する人は、最初のHシーンに注目せよとアドバイスしておく。アコは、多くの女性が感情移入できるように作られたキャラだが、演じる前田綾花の裸も、日本の女の子の最大公約数とでも表現したくなるようなそれであった。



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