『ナンバー23』5点(100点満点中)
The Number 23 2007年11月23日、渋谷東急系、ほか全国拡大ロードショー 2007/アメリカ/1時間39分/配給:角川映画

大発見! この世は23という数字に支配されている

天地が創造されたのが紀元前4004年10月23日。ジュリアス・シーザーは23ヶ所を刺されて殺された。ラテン語は23の文字で構成され、古代マヤ人は12月23日にこの世が終わると言い伝えた。そして日本、ヒロシマ。原爆が落とされたのは8時15分。8+15は……23だ。

なななななんという発見。この世界のすべては、23という謎めいた数字によって動かされ、支配されていたのだ! ……と素直に驚いた人以外はこの先の文章を読む必要はない。ブラウザの戻るボタンを押して、さっさとほかの映画をお探しになったほうがよい。

ごく平凡な男ウォルター(ジム・キャリー)は、あるミステリ小説を読み驚いた。内容が、まるで誰かが見て書いたかのように自分の生い立ちとそっくりだったのだ。違うのは、彼の現実は殺人事件などとは無縁ということだけ。しかし小説の中の記述と同様、自分の人生も23という数字に囲まれていると気づいた瞬間、ウォルターは主人公の未来をフィクションと捉えられなくなってしまう。

鑑賞中、私はずっと「これはジムキャリーがキチガイのマネをしているコメディなんだ」と思いながら(そうであってほしいと願いながら)見ていたが、実際は違った。この映画の登場人物は、どうやら大真面目に世界がナンバー23に支配されていると思っているらしい。

後半には、「ああ、これも23だ!」「これとこれを足すと23だ!」「なんてことだ、この日付も足して割って10を引いたら23になった!」などと、衝撃の事実が津波のごとく押し寄せる。もう、見ているこちらはドン引きである。

いったいそんなクソくだらないこじつけを連発して、誰が驚くというのだろう。

『ナンバー23』は、登場人物たちが生活の中にたくさんの23を見つけて、そして勝手にたまげている映画だ。ダビンチコードにも通づるアホさがあるが、トンデモ度は当社比200倍。鑑賞前に学研の雑誌を読みまくってテンションをあげて、脳内のオカルト受容体を活性化させてから見ても、なんとか40点といったところか。

ジョエル・シューマカー監督の23作目に当たるとか、公開日が23日だとか、映画自体も不気味なほど23に符合しているが、私はさらに最大の秘密を発見した。それは何を隠そう、この映画を見たあと真っ先に思った一言だった。「ジカンノロウヒダ(23画)」。



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