『紅薔薇夫人』55点(100点満点中)

坂上香織のハダカをたくさん見られる

杉本彩が体当たりでSMシーンを熱演した『花と蛇』シリーズは、大物のグラビアネタに飢えていた週刊誌等を巻き込み、(オジサマたちの間で)けっこうなブームとなった。

これはいけるということで、今度は同じく元アイドルの坂上香織が、SM演技に体当たりでチャレンジしたのがこの『紅薔薇夫人』。原作は、『花と蛇』同様、このジャンルの大家、団鬼六の『肉の顔役』である。ちなみにこの原作、後編は『花と蛇』以上に過激といわれている。

坂上香織が演じるのは、没落した名家の奥様。奥ゆかしく清純な大和なでしこだ。ところが、彼女と処女の一人娘(永瀬光)は、なんと借金のかたに売られてしまう。悪どい男どもの前につれてこられた母は、容赦ない陵辱、恥辱の限りを尽くされてしまうのだった。

というわけで、見所はこの清純な奥様が、あられもない姿にむかれ、犯され、開発されるというくだり。やがて娘までもが、あちら側の娼婦の手によってはじめての快感を教えられ、ついにはやくざものたちのなぐさみものにされてしまう。そんな絶望的かつ容赦のない官能シーンが、女優二人の体当たり演技によって表現される。

坂上香織は、すでに何度も脱いでいるのでありがたみは薄いが、それでも恥じらいの表情で、ついに着物を脱ぐ決断をするあたりの演技はなかなか興奮を誘う。一気に落ちる着物の内側からは、日本人離れした凹凸のボディーがあらわになる。全編、ヘアも胸もお尻も全開の大サービスぶりで、ハダカを見たい方の期待には十分こたえてくれるだろう。

一方、娘役の永瀬光は、みるからに摩擦係数の少なそうななめらかな肌で、推定Cカップのバストを惜しげもなく披露する。どちらの女優も、相手役から股に手をぐいぐいと入れられ、あえぎまくるなど、ずいぶんと頑張っている。

SM場面については、いくつかの斬新な縛り方、具体的には吊り縛り・蜘蛛の巣縛りに薔薇縛りといったあたりを見ることが出来る。ちなみに本作で縛りの指導を行ったのは、新宿三丁目のハッピーという、SM系カップル喫茶のマスター。この方、店の内装もオリジナル縛りで飾ってしまうなど、どうやら独創性に満ちた才能があるようだ。

作品としては、見た目のエロさ、たとえばバラエティに富んだ縛り方や二人のヌード、エッチシーンといったところを重視しており、精神的なエロさ(没落した貴婦人が陵辱される、心理過程のエロティシズム)は二の次のようである。

また、SM技大全集のようだった映画『花と蛇』シリーズにくらべると、予算の関係上か、見せ場は1つのシークエンスに絞られている。ユニバーシティとカレッジの違いに近い、とでも言っておこう。

そんなわけで、坂上香織ファンの方にはそこそこオススメの『紅薔薇夫人』。今後も名のある女優の皆さんには、彼女のような体当たり演技にどんどん挑戦してほしい。ごくごく個人的な意見ではあるが。



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