『劇場版超星艦隊セイザーX 戦え!星の戦士たち』70点(100点満点中)

ゴージャスなヒーロー大競演

現在放映中の特撮アクションドラマ『超星艦隊セイザーX』の、序章となるべきストーリーの映画版。

西暦2500年では、邪悪な宇宙海賊が「コスモカプセル」すべてを強奪し、全宇宙を支配していた。「コスモカプセル」とは、12個すべてを集めると全宇宙を支配できる全能の球で、そのパワーのため反乱軍はまるで歯が立たなかった。やむなく彼らは、500年前の地球に精鋭の戦士たちをタイプスリップさせ、敵より先にカプセルを集めさせる作戦に出た。

『セイザーX』は、2005年9月まで放映された『幻星神ジャスティライザー』から、世界観と主人公らを引き継いだ続編だ。なお、『超星神グランセイザー』から始まった東宝制作の超星神シリーズとしては、3作目に位置付けされる。

未来からやってきたヒーローは未来を救うため、もともと現代にいたヒーローたちは現代の地球を守るため、ときには反発しあいながらも、協力して巨大な敵に立ち向かう。『ターミネーター2』や『ドラゴンボール』や『スターウォーズ』から遠慮なくアイデアを拝借した(最近ではインスパイヤというらしい)、子供だましのストーリーではあるが、過去のヒーローと新ヒーローが、違和感なく競演できるというのがウリだ。

監督は、平成ゴジラに関わってきた大森一樹で、その作品群からも、見慣れたメカなどの一部要素を取り入れている。ヒーローは超星神シリーズから全18人、巨大ロボもその分登場するという、とにかく豪華な内容になっている。

ドラマ面は薄いが、このゴージャスな競演を見られれば、それなりに満足はできよう。映画らしく、風景に怪獣やらロボを合成した俯瞰構図など、ダイナミックな映像も楽しめる。怪獣も冗談かと思うほど巨大で、対するロボットもよく動く。

とにかく、たくさんのキャラクターが一同に会したところを見たい、といいうファンにはうれしい作りだ。やはり、これだけ徹底してくれると、お子さんにお付き合いで見に行くお父さんも、それなりに面白かったりするのでありがたい。特撮ものとしては、このくらいの点数はあげたい。



連絡は前田有一(webmaster@maeda-y.com 映画批評家)まで
©2003 by Yuichi Maeda. All rights reserved.