『ザスーラ』65点(100点満点中)
子供と一緒に宇宙へ冒険に出かけよう
『ジュマンジ』(95年)という、アドベンチャー映画がある。ロビン・ウィリアムズ主演で、CGで描いた動物たちと、伏線をうまく張った感動的な物語が見所の、とても楽しい映画だった。原作は絵本だが、子供たちのみならず、大人も十分に楽しめる出来であった。
その原作者クリス・ヴァン・オールズバーグ(『ポーラーエクスプレス』の原作)が、『ジュマンジ』の続編として書いたのがこの『ザスーラ』。映画『ジュマンジ』からは、20年ぶりとなる映画化である。
主人公は、ケンカの絶えないある幼い兄弟。父が出かけ、家の中が二人と姉だけになったある日、いつものように弟は、兄にいじめられて地下室に追いやられる。ところが偶然、そこで古びたボードゲームを見つけた弟は、説明書も読まずにとりあえずゲームをはじめてみる。内容は宇宙を舞台にしたアドベンチャーゲームだったが、コマが進んだ瞬間、家の外が本物の宇宙空間に包まれる。そのゲームは、マス目に書いてあることが実際に起きる、魔法のゲームだったのだ。
基本プロットは『ジュマンジ』とまったく同じ。舞台が宇宙になったというだけの話だ。だから、『ジュマンジ』が好きな人はそこそこ楽しめるだろうし、そうでない人は恐らく楽しめないであろう。
VFX技術が進んだおかげで、数々のスペクタクルシーンは迫力満点。子供たちも大人もたくさんの驚きを得ることが出来るはず。次々訪れる困難は、隕石が振って来たりロボットや宇宙船が襲ってきたりとバラエティに富んでおり、まさに夢いっぱい。冬休みに親子で見るには最適の作品といえる。ワクワクを楽しんで、健全なラストにほっとして帰るという映画だから、無邪気なカップルの皆さんにもすすめたい。
基本的には、『ジュマンジ』よりさらにお子様向きなので、物語の各場面において、必然性やら整合性に難ありといった印象があるが、別に目くじらを立てるような作品でもあるまい。子役は二人とも可愛いし、こういう素直な作品だとギャグなんかも純粋に笑って見られる。最後にはちょっぴり感動させてくれる展開も待っている。
男の子なら誰でも、自分が宇宙を冒険する空想物語の一つや二つは思い出の中に持っているはず。まるで、それらを具現化したようなこんな実写映画を気楽に見られるこの時代の子供たちは、果たして幸福なのか不幸なのか。視覚効果の進歩により、見る側の想像力の介入する余地が少なくなることには、一抹の不安を抱いてしまうがさて、いかがなものだろうか。