『ミート・ザ・ペアレンツ2』50点(100点満点中)
アメリカ人の気持ちを考えて楽しむコメディ
アメリカ人は、コメディ映画が大好きだ。最近の日本人は、純粋なコメディを映画館で見るという習慣があまりないので、ともするとこれが日米映画業界における、最大の相違かもしれない。ちなみにそのアメリカで、コメディ映画史上、興収ナンバー1を取ったものすごい作品がこの『ミート・ザ・ペアレンツ2』だったりする。
ストーリーは前作の続きから始まる。ようやく恋人の父親(ロバート・デ・ニーロ)から結婚の承諾を得た主人公(ベン・スティラー)。しかし、次は自分の両親に、彼女側の家族を引き合わせるという試練が待っていた。
主人公の両親を演じるのが、ダスティン・ホフマン&バーブラ・ストライサンドという、前作に出てきたカノジョ側のお父上を上回る個性派キャラ。この二人はいわゆるユダヤ系ラジカルリベラルというやつで、たとえばお母さんはセックステラピーなんて講座を自宅で開いており、そうした話題(両親の間のセックスライフとか)も家族の間ではまったくタブーなし。さらに父親は、なんと専業主夫。とにかく開放的で反権力という、典型的な自由主義家庭である。
それに比べ、前作を見てわかるとおり、カノジョ方の父親(デ・ニーロ)は元CIAという典型的な愛国主義者、保守的な思想を持つ白人である。この正反対の家庭同士がはたしてどんな対面をはたすのか、これは多人種国家たる米国で暮らす人々にとっては、非常に興味深いシチュエーションだ。かの国での大ヒットも頷ける。
日本人には、こうした感覚はあまりピンとこないが、それでも本作は比較的わかりやすく、そのへんのギャップをギャグにしてくれている。割礼などといった、民族特有の習慣をネタにしたギャグもあるが、そうした背景を知らなくても十分に楽しめるだろう。さらに、単純なドタバタギャグも豊富で、誰でも気軽に笑える作品になっている。
そうした意味で、『ミート・ザ・ペアレンツ2』は、シチュエーションに頼った"コント"ではなく、役者の"演技"によるコメディということができる。もちろん、この方が一般的日本人にはわかりやすい。いずれにせよ、この映画は気楽にポップコーンでも食べながら見るフツーのお笑い映画だ。そういうものだと理解していけば、少なくとも大はずれは無いだろう。