『仮面ライダー THE FIRST』40点(100点満点中)

今映画化するなら、何か進歩がほしい

1971年から約2年間TV放送された、初代仮面ライダーシリーズのリメイク版。

大学院で、水の結晶を研究する本郷猛(黄川田将也)は、悪の秘密結社ショッカーの手で拉致され、バッタの改造人間にされてしまう。彼は、ショッカーの手先として働かされるが、やがて自我を取り戻し、組織と対立する。それを受け、ショッカーは刺客として仮面ライダー2号(高野八誠)を送り込む。

アクションシーンのロケ地は、原っぱや公園のような予算を食わないところばかりだし、ワイヤーワークも役者のアクション自体も、正直言ってテレビレベル。もうちょっとお金をかけることはできなかったのか。まあ、確かにそういうところも仮面ライダーらしいといえば、そういえなくもないが、やはり映画としては迫力不足に見えてしまう。役者の線がいかにも現代っ子的で細すぎる、というのも影響しているだろう。

脚本、プロットはよく工夫されており、十分に楽しめる。ちょいと意外な終盤が、切ない感動を与えてくれる。ただし、演じる主役級の若い役者たちの演技力は、ドラマ崩壊寸前レベル。せめて彼らがもう少しうまければ。

仮面ライダー1号2号を復活させるというからには、40近い大人向けの企画映画だと思うが、それにしては少々チープすぎる出来が気になる。当時と同じようなものを、似たようなクォリティの映像で見せられても、安っぽさばかりが目に付いて悲しくなる。主題曲は同じだし、ヒーローのデザインなども多少は懐かしい思いもするが、そうした観客のノスタルジー頼みでは、大きなウケは望めまい。

天本英世が死神博士としてデジタル出演するなど、面白いアイデアもあるにはあるが、やはりもっと、往年のファンをワクワクさせる何かがほしい。まあ、後一歩といったところだ。



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