『ドミノ』40点(100点満点中)
一人浮いているキーラ・ナイトレイだが、見所も彼女に集中している
名優ローレンス・ハーヴェイの娘に生まれ、モデルとして活躍しながら、いつしかバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)の世界に足を踏み入れた実在の女性ドミノを題材にしたクライムドラマ。なお、本物のドミノは映画の完成と時期を同じくして、自宅の浴槽で変死体となり発見された。まだ35歳だった。
セレブの娘に生まれ、何不自由無く暮らしていたドミノ(キーラ・ナイトレイ)は、やがてその世界に飽き、生活も荒んでいった。そんなある日、賞金稼ぎの募集広告を目にした彼女は、自分の生きる道はこれだと飛びこんでいく。
やがて彼女は、社会の裏側を知り尽くした荒くれ男たちの世界で、めきめき頭角を表すのだが、彼女の父親代わりとして、この世界のルールを教えていく“リーダー”役を、ミッキー・ロークが好演している。ちなみに、この人物にも実在のモデルがいる。
このほかにも、ドミノを取り調べる捜査官役(この映画は、取り調べられたドミノの回想が本編となっている)をルーシー・リュー、そして脇にもクリストファー・ウォーケンやジャクリーン・ビセットといった、なんともクセのあるキャスティングがなされているのが特徴といえる。とくに、『ビバリーヒルズ青春白書』シリーズのメインキャスト二人(ブライアン・オースティン・グリーンとアイアン・ジーリング)が、まさにその本人役でかなりの長時間出演し、たくさんのセリフをしゃべっているのには驚かされた。何しろ、完全に物語の本筋に絡んでいるのだから。
そうした役者たちがかもしだすダークな雰囲気に、犯罪映画らしい荒っぽい画面が相まって、スタイリッシュと呼んでもいいような独自の映像が出来上がった。
ただし、主演のキーラ・ナイトレイは明らかにひとり子供っぽく、ドミノの強烈なイメージを再現できているとは言いがたい。一人だけ浮き気味なのも、まだ若く経験不足ということでやむをえないか。その子供っぽさのおかげで、下品なメイクをしてもいやらしく見えることは無いが。まあ、かわいいけれども強くは見えない。
ちなみに彼女は、今まさに無敵の快進撃を続けている、人気急上昇中の女優ながら、本作でヌードと激しいセックスシーンを披露している。これにも驚いた。その裸体は、予想通りのスレンダーなプロポーションでとてもしなやか。若いから肌もとてもきれいだ。
物語は、なんともダラダラしたもので、切り替えは激しいが抑揚はない。終盤は、実話とは思えぬ二転三転のサスペンス調になってきて、観客はおやと思わされるが、大方の予想通りこれは8割方フィクションという事だそうだ。
しかし、正確な伝記ではなくフィクションでやるというのはどうも中途半端だ。どうせ嘘かと思うと、ドミノを知らない人に彼女の真の姿が伝わることも無いだろうし、知ってる人にとっても何が何やらといった感じだ。結局のところ、ちょっとばかしオシャレな画面とキーラ・ナイトレイの過激な衣装(とハダカ)以外に、印象に残るものはほとんどない。