『まだまだあぶない刑事』40点(100点満点中)
全くまとめる気がないくせに、妙な仕掛けのある奇妙な脚本
舘ひろしと柴田恭兵が演じる刑事コンビのハチャメチャかつクールな活躍を描くアクション&コメディドラマ。80年代に大人気を博したテレビドラマの久々の映画化だ。物語は98年のテレビスペシャルのラストの設定を受け継いだ続編となる。
7年前から行方不明になっていた主人公、鷹山(舘ひろし)と大下(柴田恭兵)は、韓国のプサンで潜入捜査官として活躍していた。小型核兵器の取引現場を派手にぶち壊した二人は、その後横浜に戻るが、そこではなんとかつての部下トオル(仲村トオル)が、捜査課の課長に昇進していたのだった。
韓国ロケのアクションシーンでは実銃を使い、物語も核兵器の取引やらテロやらと実に壮大。かなり本格的な内容かなと思いきや、やはり良くも悪くも『あぶない刑事』はテレビドラマであった。
アップになると少々老けが目立つものの、二人は相変わらず渋くてカッコいいし、おなじみのギャグの数々も懐かしい。舘ひろしのバイクアクションもあるが、少々大人しくなってしまっているのはさびしい。浅野温子など、いまだにあの飛んだキャラを演じるんだから、ある意味恐ろしい。
新キャラとして二人と絡む若手刑事二人(窪塚俊介、佐藤隆太)は、演技力もキャラつくりもイマイチで、完全に主役二人の引き立て役。
物語は、随所に妙な違和感を感じるままラストに向かうが、そこでその違和感の正体が明らかになる“仕掛け”が用意されている。まあ、悪いアイデアではないが、それならもっと伏線をたくさん張っておいたらよかった。
また、全体的に各シークエンスを単発で羅列した印象で、各場面のつながり、流れが悪い。物語をずいぶんとおっ広げてはいるが、まったくまとまっていない。なんだか、最初からまとめる気がなかったのではないかとすら思わせる。そんないい加減さを感じる脚本だ。まあ、それでもいいという事なのかもしれないが。
ユウジがつぶやくセリフ「7年か……。惚れたオンナの身体も崩れる頃だな」がカッコいい。まあ、映画としては平均点以下だが、彼らを久々に見れたのだけは良かったかな。