『エコーズ』50点(100点満点中)
呪いモノは平凡
SF・ホラー作家リチャード・マシスンの名作『渦まく谺』を、「スパイダーマン」「宇宙戦争」の脚本家デヴィッド・コープが監督して映画化。主演は「インビジブル」「ミスティックリバー」などで知られる性格俳優ケビン・ベーコン。
ある配線工(K・ベーコン)は、妻と息子の平凡な3人家族で幸せに暮らしていた。ところがある日、お遊びで受けた催眠術により予知夢や霊魂の存在を感じるように体質が一変してしまう。やがて彼はその能力で、半年前に行方不明となった少女サマンサが、実は何者かに殺されていたことを知る。
「エコーズ」は不思議な映画である。なにしろ本国アメリカでは1999年に公開された作品ということで、なんと6年近くも前の映画なのである。そんな映画をわざわざ公開するからには、相当な傑作なのかと思いきや、どこからどうみても平凡そのものといったホラー映画である。なぜ今これを公開する必要があるのかとまずは思う。
内容はいたって平凡で、いわゆる少女の呪いモノである。オカルトなどまったく信じない主人公が、催眠術などいんちきさとせせら笑って受けてみたところ、みっともないことにコロリと引っかかってしまい、少女の霊によって殺人事件の真相を知らされるというのがあらすじだ。
彼の息子はどうやらもともとソチラ方面の能力を持っていたような設定だが、子供がこうした能力を持つという設定もいかにもといった感じで新味はない。それでも退屈せず見られるのは、よけいなドラマを入れない分、物語のテンポが非常に早いという一面があるからだろう。思わせぶりなセリフや断片的な映像が、現実に起こっていく展開はこの手のホラーの定番だが、わかっちゃいても結構面白かったりする。
何より、ケビン・ベーコンがいい。この、一度見たら忘れないカオ(と名前)をした性格俳優は、この映画の魅力を多いに高めている。「エコーズ」は彼がなんとか支えた一本といえるだろう。その他、彼の奥さん役の女優も、オフロバでかわいいヌードを見せてくれたりする。薄めのお尻がかわいらしい。
まあそんなわけで、適度なショックシーンと退屈しないテンポの速い物語が魅力のこの映画だが、やはり呪いモノはワンパターンで平凡というきらいはある。それでも見たいという方は、気合を入れて映画館にどうぞ。