『花都大戦 ツインズ・エフェクトII』20点(100点満点中)

予想外にダメだったジャッキーの息子デビュー作

ジャッキー・チェンの息子ジェイシー・チェンの映画デビュー作。競演は香港の人気アイドルTWINSのお二人。この1点を理由に、前作とは一切関連がない内容ながら『ツインズ・エフェクト2』の副題がついている。アクションを見せ場にしたアイドル映画だ。

古代、中国の近くに女人国があった。ここでは圧倒的な権力を持つ女帝のもと、すべての男は奴隷であり、まだあどけなさの残るスプリング(シャーリーン・チョイ)も奴隷商人として身を立てていた。そんなある日、女帝のもとから前王朝復活の鍵となる石版が盗まれる。やがてそれを手に入れた落ちこぼれ旅芸人の青年チャー(ジェイシー・チェン)は、それを宝の地図と勘違いしてスプリングらと旅に出るが……。

香港では、人気アイドルの主演映画ということで、結構なヒットを飛ばしたらしいが、日本人がみればただのバカ映画にほかならない。M男性が大喜びしそうな女人国なんて設定がそもそもマヌケすぎるし、あまりに安っぽいギャグセンスだ。強引かつ無茶苦茶な展開をみせ、最後にはめでたくみなさんラーブラブという安直な展開にもやれやれといったところ。

それでも、近年明らかになったジャッキーの息子が初主演ということで、それなりに期待された作品だったのだが、この青年がまたなんとも凡庸この上ない。高嶋政伸をさらに引き伸ばしたような馬面で、父親譲りの気弱なまじめ青年キャラを必死に演じようとしているが、ジャッキーと違って本当に弱そうなのでシャレになっていない。アクションもまるっきり駄目だし、最後にパワーアップしてスーパーサイヤ人になってる姿はマヌケそのものである。どうみても、父親がジャッキーでなければ世に出てこれなかった人材であろう。なんとも痛々しい。

また、この映画は彼以外のアクションもよろしくない。本格派のドニー・イェンとジャッキー・チェンの夢の対決シーンですら、ワイヤーをあからさまに使い過ぎで二人の魅力を生かしていないのだから、これはもう担当スタッフの責任であろう。少なくとも前作の「ツインズ・エフェクト」では、アイドル二人のアクションですらそこそこに見ることができたのだから、これは大きなマイナスだ。

そんなわけで、今回はツインズのかわいい少女二人のアクションも、まさしくアイドル演舞そのもの。ルックスが抜群なのできめたポーズはかっこいいが、動き自体にはまったく期待できない。非常に安っぽい。

このシリーズ、とくにこの第2作は、香港の若手俳優大集合のような趣で、ジャッキーらベテランはあくまで脇役、サポートに徹しているわけであるが、こうしてみると特に女優陣は非常に元気がいい。ツインズはもちろんだが、とくにレッド役のファン・ビンビンなどはなかなかのオーラを放っているように思えた。映画自体はダメ作だが、将来の香港映画界をしょって立つであろう面々を一時に見る楽しみは味わえる。



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