『妖怪大戦争』65点(100点満点中)

ビックリするほどセクシーな栗山千明に驚かされる

水木しげる、荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆきら妖怪に縁の深い作家たちがプロデュースする、製作費13億円の大作映画。監督は海外でも人気の高い三池崇史(「着信アリ」ほか)。

日本を魔界から支配しようとたくらむ男(豊川悦司)とその軍勢に、日本古来からの妖怪たちが、その年の祭りで少年戦士=麒麟送子に選ばれた10歳の少年(神木隆之介)を先頭に戦いを挑むという物語。迫力バトルの見せ場を、両親が離婚したばかりで落ち込み、クラスにもなじめない主人公少年の成長を絡めて描く。

出演者もプロデュースチームの面々も、妖怪が大好きなんだなあとよく伝わってくる作品だ。妖怪役には数々の有名人が登場するが、みなリラックスして楽しみながら演技しているように見える。そうした妖怪たちは、最新VFXのお化粧はしているものの、基本的には昔ながらの着ぐるみだったりする。かつて60年代に大映妖怪シリーズと呼ばれた一群の妖怪映画の雰囲気をよく継承している。

とはいえ、ノスタルジーばかりを追いかけているわけではなく、クライマックスの妖怪大戦争の場面は数千人ほどのエキストラとCGを組み合わせたとんでもない大群衆の迫力で見せる。これはまさに最新映画らしい迫力の見せ場で、観客を驚かせる。肩の力を抜いたバカバカしい笑いの要素も満載で、人によっては爆笑もできるだろう。

個人的に目に付いたのは、敵の大将豊川悦司のもとで悪さをする妖怪、栗山千明の存在。そしてもう一人、妖怪側のヒロイン川姫を演じる高橋真唯だ。この二人の若い女優ときたら、やたらと強調した胸の谷間(栗山)やら半尻(栗山&高橋)やら太もも(栗山&高橋)を惜しげもなく露出しまくり、ポーズやセリフにもやたらと思わせぶりなエロいものが多い。これは間違いなくファンサービスの一環としてやっているのだと思うが、かなりのインパクトがある。この二人の思い切った演技だけで60点くらいはあげたい。

とくに栗山は、毎度ながら他の出演者を食ってしまう存在感を発揮しており、本当にいい女優だなと感じさせる。抜群のスタイルときれいな肌で、男性の観客を魅了する。TVドラマの枠には収まらない、日本の誇る数少ない人材といえるのではなかろうか。

天才子役といわれる神木隆之介くんに関しては、今回は特別演技力を要求されるような話ではないので、普通にかわいい子供の学芸会を見ているようで微笑ましい。

いまの子供たちがどれほど妖怪に興味を持つかはわからないが、『妖怪大戦争』は、子供と大人が一緒に楽しめる数少ない実写日本映画といえる。とくに、オトナの栗山千明ファンは別の意味で必見である。なんにせよ、夏休みに健全に親子で楽しめる娯楽映画を探している人は、ぜひその候補にいれておいてもらいたいと思う。



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