『ハービー 機械じかけのキューピッド』60点(100点満点中)
リンジーのアイドル映画としては一級品
アメリカのアイドル、リンジー・ローハン(リンゼイ・ローハン)を主演にしたアイドル映画。69年の『ラブ・バッグ』以来、いくつか作られたディズニー映画のなかに登場する“意思をもつ車”ハービーが久しぶりに登場するシリーズの最新作でもある。撮影には、初期シリーズで実際にハービー役を演じた車両も参加したというから驚きだ。そして車ファンなら、何よりモデルとなったフォルクスワーゲンTYPE-1(ビートル)という車種のもつ魅力の普遍性にまずは感動だ。
主人公の少女(L・ローハン)は、父や兄のようにレーサーを夢見ていたが、数年前の事故以来、父からレースを禁じられていた。やがて彼女は大学を卒業し、そのお祝いに古いフォルクスワーゲンのレースカーを買ってもらうが、その不思議な車は意思があるかのごとく、彼女を乗せて勝手に走り出すのだった。
まあ、実際にこの車ハービーには人格?があり、しゃべりはしないもののとても可愛らしい活躍をするわけである。キュートな旧型ビートルでありながら、最新のレースカーにも負けない足の速さ、片輪走行だってお手の物。そんなハービーとヒロインとの友情を楽しくコメディとして描くという、ファンタジックなクルマ映画だ。
映画自体は、かつてのハービーシリーズにかわいい女の子を組み合わせたらどうなるか、というお手軽企画だが、ライトなタッチでなかなか楽しい映画に仕上げている。もちろん、クルマがウィンクしたり意地悪をしたりする内容だから、見る側もアタマの中身をファンタジーモードに切り替えていかねばならないが、主演のリンジーがとても魅力的で、アイドル映画としては十分合格点といえる。
ただ、日本では彼女目当てに見に行く人は少数であろうから、そうなるとやや厳しい。なんといってもストーリーは先が読めるタイプの、健全かつ定番のディズニー家族映画にすぎないのだから。
私などは、ナイトライダーシリーズのアイデア元になったといわれるハービーの活躍うんぬんよりも、みせつけているとしか思えないリンジーさんの立派な揺れ巨乳に魅力を感じてしまうようなていたらくなので、どうしても評価が甘めになってしまうが、映画にもっと多くの楽しみを期待していくような観客の方にはこの作品は向かない。逆に、揺れるおっぱいと何の心配もなく見られるディズニー映画を見たいだけの人ならば、見て損はないだろう。