『アイランド』50点(100点満点中)
この手のお気楽娯楽にしては平均的
『パール・ハーバー』『アルマゲドン』など豪華なアクション大作で知られるマイケル・ベイ監督による近未来SF大作。主演は公開中の『スター・ウォーズ エピソード3』でオビワンを演じているユアン・マクレガー。
舞台は近未来。地上は汚染され、生き残った主人公らは徹底的に管理されたコロニーで暮らしている。そこで暮らす人々の唯一の夢は、地上でただ一箇所汚染されずに残された自然たっぷりの島“アイランド”へ移住すること。そして今日もまたアイランド当選者の抽選が行われるのだった。
さて、主人公らは妙に清潔で完璧に管理された生活をしているが、観客同様「これって変だぞ」と疑問を持つようになる。そりゃそうだ、多少清潔なだけで、これでは刑務所暮らしとかわらない。誰だってギモンに思うだろう。やがて彼は、映画進行上の理由から仲良くなった女の子(スカーレット・ヨハンソン)と一緒にその“施設”の真相に挑むというわけである。
一言でいえば、そつのないSF娯楽大作というやつだ。決定的な破綻も、ばかばかしさが目立つ場面もない。この監督らしいスペクタクルも満載で、劇場で見た迫力たるやさすがはハリウッド大作といったところだ。いったいいくら使えばこんな凄い映像が撮れるのか、想像もつかない。
しかし、こうした話題作をよく見る客層にとって『アイランド』は恐らく物足りない。VFX満載の見せ場やカーチェイスはどこかで見たようなものばかりでオリジナリティにかける。まあ、いまどきはちょいと製作費をつめば、かつてのブロックバスター作品の見せ場のダイジェストみたいな一本がすぐできるよ、という見本のようで、そら恐ろしい気持ちにはなるが。
また、アクションが多いのは結構だが、もっと主人公やヒロインに感情移入できるようなドラマがほしいところだ。この手のお気楽娯楽にしては珍しいほど、個性派と呼ばれるいい役者をそろえているのにもったいない。
物語も、真新しさはなくありふれた印象。骨格が過去映画の切り張りで、そこにものすごいVFXで厚化粧したような、そんな印象だ。クローンを題材にした映画ではあるが、言ってみりゃこの映画こそクローンみたいなものだ。
多少の齟齬はとんでもなく暴力的なアクションシーンの連発でふっとばす、そんな勢いのある映画だ。ヒロインのヨハンソンは、ナイスバディにぴったりした衣装でご自慢の大きなお胸を揺らしてフェロモンを振りまく。見栄えもばっちりだ。
まあ、初デートのお供にはこういう無難な映画が向くとは思うが、それほど多くの期待は禁物だと言っておこう。