『劇場版 ナニワ金融道 灰原勝負!帰死回生のおとしまえ!!』60点(100点満点中)

ディープな世界を垣間見る面白さはあるが

青木雄二の有名漫画『ナニワ金融道』を映画化。キャストもSMAPの中居正弘主演のテレビドラマから一新、主人公の灰原役を「ウルトラマンコスモス」で地球を守るヒーローを演じた杉浦太陽が演じている。

勤めていた都内の会社が倒産し、大阪に出てきた主人公(杉浦)。そこで出会った女の子(鈴木紗理奈)らと親しくするうちに、彼はいつのまにか怪しげな街金“帝国金融”で働くハメになる。

トーンを使わない独特な絵柄とディープな社会の裏側を描いたことが話題を呼び、この原作は大ヒットした。テレビドラマやビデオ化もされていたが、今回若々しい杉浦太陽を主演に、いよいよ映画化である。

内容は金融知識のまったくない方には少々難しいが、ヤミ金の手口を興味深くみせてくれるもの。この題材が気になるひとには非常に面白いものだろう。計画倒産、ニセの借用書、そんな怪しげな単語やアイテムが飛び交い、ゼニをめぐる手練手管を見せてくれる。興味はあるけど怖い、そんな世界を垣間見ることができる。

杉浦くんは、演技の面では少々難ありだが、まあそんな態度が逆に裏社会にふみこんだ新人くんには似合っており悪くない。その他のこわ持てのおじさんたちがとても上手なのでカバーされているし、そのギャップがひとつの味となっている。

ただし、映画としてみると少々凄みに欠け、おとなしい。1800円を払ってみたいかとなると、やや厳しかろう。ビデオで借りてみるなら損はない。かなりお気楽な作りで、あくまで原作の力、描く社会への興味に頼った作品なので、見る側も多くは期待せずに行ったほうがよい。また、現実にたくさん街金から借りている方には、この映画は現実逃避の役にはまったく立たないので気をつけてほしい。



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