『バットマン ビギンズ』75点(100点満点中)
シリーズ最高傑作
DCコミックス不滅の人気キャラクター、バットマンを映画化したシリーズ最新作。監督は時系列を逆にした異色作「メメント」のクリストファー・ノーラン。渡辺謙が出演しているのも話題だ。
本作はシリーズパート1よりさらにさかのぼった時代を描いたもので、目の前で両親を殺された若き主人公が、ヒマラヤへの一人旅で心身ともに成長、特殊能力も修行の末に獲得し、やがてバットマンとしてゴッサムシティを守るようになるまでの話である。バットマンはスーパーマンやスパイダーマンと違い、超能力を持たないただの生身の人間であるが、彼がそれでもなぜ強いのか、その秘密が明らかになる。このあたり、へぇ〜の連続である。
最初に言っておくと、本作はシリーズ中では最も面白く、そしてカッコいい。このバットマン誕生編は、予想外のすばらしい出来映えであった。
「バットマン」を一言で言えば、金持ちの癖に(?)善人の男が、正義のヒーローを演じる話だ。そして、この男の金遣いの荒さが桁外れで、見ていて実に気持ちがいい。たとえば、連れの女がみっともない態度をとってレストランで注意されるシーンがある。彼は、女性の名誉を救うために小切手を切って店員に渡す。金をやるから不問にしろ、というのではない。ホテルごと買うから好きにさせてやれというのである。素敵すぎる。
執事とのかけあいの面白さも健在で、このシリーズの魅力を十分に理解した監督による作品だと言うことがこれでわかる。
渡辺謙は、悪の組織のリーダーという役柄で、出演時間はわずかだが、十分に存在感をアピールした。スキンヘッドに渋い声、あの独特の風貌はきっと米国人にも強いインパクトを与えたことだろう。彼は本作でまたひとつ評価を上げたといっていい。
ファン期待のバットモービルも、これがまた実にカッコイイとしか言いようのないもので、そのマッチョな走りっぷりには個人的に惚れ惚れした。マッチョといえばバットマン役のクリスチャン・ベイルがなかなか良い肉体を持っており、この点も評価が高い。やはりヒーローはこうでなくてはならない。彼が、数少ない理解者と出会っていく過程はわくわくする。
『バットマン ビギンズ』がどんな人に向いているかは一目瞭然だ。過去のどれでもいいから「バットマン」の映画を見て、こういうヒーローが好きだなと感じる人ならきっと楽しめる。シリーズで一番カッコイイバットマンを見たい人は、早速週末映画館にGO!だ。