『ザ・リング2』20点(100点満点中)

なかった事にしてもらいたい

ハリウッド版『リング』である『ザ・リング』の続編。日本に存在する続編とは無関係で、ハリウッドによる完全オリジナルストーリー。主演は前作同様ナオミ・ワッツ、監督は日本のオリジナル版と同じ中田秀夫だ。ちなみに本作は彼にとっての監督全米デビュー作となる。

前作のラストから数ヶ月、小さな田舎町でひっそりと暮らす新聞記者(N・ワッツ)とその息子だが、ある変死事件の被害者の顔が恐怖にゆがんでいたと聞いて、サマラの呪いが復活したことを知る。

脚本がひどい、どうしようもない。まず、ハリウッド版、日本版いずれにしても、『リング』は簡単に続きが作れるような話でないのはご承知のとおり。もっとはっきりいってしまえば、続けようのないストーリーだ。それほどに完成度が高いともいえる。それなのにこんな駄作をつなげて続編を名乗らせるとは……名作リングの名前を汚すだけだから、もうやめたほうが良いのではないか。

ご存知のとおり「リング」では、優秀な登場人物たちが呪いに対し考えられるあらゆる対抗策を試し、その結果あのような結末になった。それを、いまさらこんな下らない方法で対抗するなんて、前作の(というよりオリジナル版の)価値を下げるだけではないか。こういう企画を今、臆面もなく行うというのは、まさしく米国人らしい傲慢さといえる。

中田監督は、さすが各所の恐怖描写にはハッとさせる部分もあるが、映画の骨組みである脚本が幼稚すぎる以上、どうにもできなかったと見える。これが全米デビューとはあまりにも悲しい。いかに技巧を施そうが、これでは暗い映像と音がドロドロしているだけとしか見られないだろう。

内容が二番煎じだから、怖さもない。まあ、場末のお化け屋敷に入っていると思えばなんとか許せるといったところか。ホラー映画としては間違いなく二流以下である。まして「リング」の続きとしては、これはもう、無かった事にしてもらいたい。



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