『エレクトラ』20点(100点満点中)

アクション映画としては地味で少々トロい

『デアデビル』(2003年、米)のヒロイン、エレクトラを主人公にしたスピンオフ作品。かわいいお姉さんがちょっと露出度の高い服をきてバトルを見せるという、そういう映画だ。K-1等で活躍する格闘家の"ビースト"ボブ・サップがはじめて出演したハリウッド映画としても話題になっている。

強敵ブルズアイとの格闘(映画「デアデビル」参照)において命を失ったエレクトラ(ジェニファー・ガーナー)は、善なる集団のリーダーによって蘇生され、さらなる格闘術を学び、最強の女戦士として生まれ変わった。そんなある日、彼女の元に悪の組織から追われる父娘が逃げ込んでくる。組織は少女を狙っており、エレクトラたちを殺すために、恐るべき刺客軍団を送り込む。

アクション映画としてはトロいし盛り上がりに欠けるのでなんともオススメしがたいが、それなりに見所がないわけではない。長髪ストレートガイジンがお好きな私のような方には、エレクトラ役のJ・ガーナーのナイスバディと美しいアクションは見ているだけで惚れ惚れするだろうし、規格外のマッチョマンがお好きな私のような方は、ボブ・サップの暴れっぷりを見ているだけで惚れ惚れするだろう。

しかし、デアデビルの世界に興味がない人や、奇妙奇天烈な日本語演技、怪しげな日本文化などがアメリカ映画に出てくることがたえられない人にとっては『エレクトラ』はきつい一本となるだろう。

ボブ・サップの出番は短く、あっというまにエレクトラにのされてしまうという、最近の彼自身の格闘の試合のようなあっけなさであったが、若き日のアーノルド以来、本当の意味でデカい肉体を持つアクションスターがいなかっただけに、画面上でのインパクトはかなりのものだった。惜しむらくは、映画の出来があまりにも平凡にすぎた。果たして彼に次回作はあるのか?!

ただでさえアメコミ映画は日本では当たりにくいというのに、地味なデアデビルの、さらにスピンオフという本作のマーケットは、相当小さいものとなるだろう。原作やこの世界観が好きな方ならなんとか楽しめる、といったところか。



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