『マイ・ブラザー』60点(100点満点中)

ありがちなキャラによるありがちな話なれど、それなりに見られるのはウォンビンの演技のおかげ?!

永遠の弟こと韓国のイケメンスター、ウォンビン主演の兄弟愛ドラマ。

女手ひとつで育てられた兄(シン・ハギュン)と弟(ウォンビン)は、おとなしい優等生の兄、ケンカっ早い不良の弟と、正反対の性格に育った。二人とも性根は家族思いのやさしい男なのだが、どうしても二人はそりがあわないのだった。

この二人と母親の物語を、時系列に追っていくベーシックな家族ドラマだ。ひ弱な兄をバカにしながらも、ケンカとなったら命がけで守るように戦う弟。そんな学生時代から、家の家計を救うために弟が危ない仕事をはじめるようになるまで、興味深いエピソードの数々でみせていく。二人が同じ女の子を好きになったり、ときには自分にない相手の性格に嫉妬したりと、まあよくあるものなのだが、結構楽しく見られる。

上記で書いたとおり、とてもわかりやすいキャラクターである弟のほうを、普段はもうちょっとクールなイメージのウォンビンが激しく演じている。その演技を含め、序盤は結構抑えた演出で、お、なかなかこりゃいいなと思っていたが、終盤に入って堰を切ったように説明的台詞が増加、お涙頂戴に走ってしまった。最近はやりの韓国ムービーだが、どうもこういう不必要なまでの熱い感覚(?)にはついていけない。

話自体はとってもイタいもので、主人公家族に巻き起こる不幸のオンパレードを見ていると、とてもつらい。貧乏っていやだなあとつくづく思う。思っても抜け出せるものではないが。

私にとって『マイ・ブラザー』は別段感動したわけでも、心に残ったわけでもないが、かといって悪い映画というわけでもない。ウォンビン目当てで見に行っても、間違いではない。それなりに楽しめるだろう。



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