『ブレイド3』60点(100点満点中)

マッチョ好き、アクション好きを楽しませてくれる

アクション俳優ウェズリー・スナイプス最大のはまり役といわれるダークヒーロー、ブレイドの活躍を描いたアクション映画の第三弾。

人間とヴァンパイアの血を引くめっぽう強い男ブレイドは、今日も元気に吸血鬼退治に精を出していた。ところがどっこいそれは敵の罠で、彼は殺人犯としてFBIに逮捕される羽目に。しかしそれを機に人間のヴァンパイアハンター組織と知り合った彼は、彼らから恐るべき事実を聞かされる。

さて、今回ブレイドが戦うことになる相手は、全ヴァンパイアの始祖、ドラキュラである。相変わらずのスタイリッシュなアクションは健在。多カットでスピーディに演出される。銃を持っているのにパンチを出したり、妙な刀で切りつけるあたりの「見た目至上主義」も微笑ましい。それをやっちゃあおしまいよ、とばかりに、敵も飛び道具は極力使わない。

ブレイドの仲間になる2名の戦士も魅力的に描かれる。ひとりは主にお笑い担当で、大してストーリー性のないこの映画の中で、いいアクセントをつけてくれる。この男を演じるライアン・レイノルズという俳優はアメリカでは人気のコメディ俳優だが、ずいぶんとマッチョな体をしていて驚く。敵役で出演のトリプルH(米国のプロレス団体WWEの人気レスラーだ)のバルキーな肉体もたまらないが、彼のようなナチュラルボディの腹筋6パックも筋肉好きにはこたえられない。この二人に加え主人公ブレイド役のウェズリー・スナイプスの黒人らしいバネのきいた柔軟な肉体も見られるし、ヒロインまでマッチョなんだからたまらない。

そのヒロインを演じるのはジェシカ・ビールという若手女優。彼女については「テキサス・チェーンソー」という映画のときに私はベタ誉めしたが、あれほど美人だと思っていたのに今回は普通の女の子にしか見えなかった。次からはメークアップアーティストと撮影者を誉めることにしよう。

とはいえ、露出度の高い衣装から覗く豊満なおムネと、弓を握る上腕三頭筋の収縮は結構なトレーニングの成果を感じさせる。肉体バトルがメインのこの映画において、彼女の起用は適役といえるだろう。こんなにすらっとした女の人が体育すわりヌードを披露してくれるのだからサービス満点だ。

後先考えずどんどん話を広げる無謀さも素敵だし(おまけに収拾などまったくつけようともしていない)、突っ込みどころ満載のいいかげんな展開もよい。子供っぽいセリフまわしも、そうしたテキトーさにマッチしている。およそ実用的とは思えない、デザイン重視の武器も悪くない。ジェシカ・ビールなど、戦う前にiPODか何かのイヤホンを耳に突っ込んでいる。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。

こうした要素が、すべてプラスになるのがこの手のお気楽アクションの常であろう。話の整合性やリアリティなどより、見てスカッとするかどうか、世界観を楽しめるかどうか、みてくれがかっこいいかどうかが問題なわけだ。そうした観点で見れば、「ブレイド3」は悪くない。向き不向きはあれど、それはもうこの文章を読んでわかっていただけたはず。自分ならいける、という方は安心して劇場へ出向くといい。なおエンドロールのあとにも1シーンあるので、最後の1滴まで吸い尽くしたい方は、隣のガールフレンドとキスでもしながらゆっくりしていってください。



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