『英語完全征服』70点(100点満点中)

英語に苦労した人なら爆笑の、明るく楽しいラブコメディ

英会話学校を舞台にした韓国のロマンティックコメディ。

ヒロイン(イ・ナヨン)は地味な公務員。職場命令で英会話を習う羽目になったが、教室で出会った優しげな男の子(チャン・ヒョク)にひと目ぼれ。彼に何とか振り返ってもらうため、苦手な英会話にも精を出すのだが……。

『僕の彼女を紹介します』が日本で大ヒットしたチャン・ヒョクの人気にあやかって公開される2003年の主演作がコレ。中身はぶっ飛んだ女性が主人公のロマコメで、雰囲気としては日本でもファンの多い『猟奇的な彼女』に近いものがある。

ヒロインは天然かつ妄想癖のある相当変わった性格で、不恰好な巨大メガネや、切りそろえられた前髪がカッコ悪い、いわゆるモテナイ系の女の子。しかしまあ、メガネっ子モノの常で、めがねをはずしたらあら美人、という設定はお約束。人気CMモデルでもあるイ・ナヨンはプロポーションも抜群。水着になるとこちらまでドキっとする。これほどの美貌を隠した役作りはさぞ大変であったろう。これはなかなかの熱演といってよさそうだ。

この女の子が実にキュートで、この子の脳内妄想はテレビゲーム画面やクレイアニメとなって、楽しく映像化される。そんな「遊び映像」も見所のひとつだ。

韓国は英語ができるか否かで出世が決まるといわれているくらい、英語教育がさかんな国。習得にかける情熱もハンパではなく、発音のために子供の舌を整形したアホな親もいるくらいだ。そんなかの国の様子がかいまみえる楽しみがこの映画にはある。しかも、ヒロインたちが入る初心者クラスでの珍妙なやり取りなどは、我々日本人が見ても爆笑必至で、共感がもてるだろう。

日本人にはピンとこない養子問題などもサラリと絡め、ロマンティックコメディの王道たるストーリーが展開して行く。韓国の映画は全体的に過剰な演出が多いから、シリアスよりこうしたおバカ系の映画においてこそ良い作品が生まれやすい傾向にある。『英語完全征服』は、まさにそうして生まれた良作のなかの一本だ。

どこかで見たような演出、シーンが目に付くものの、深刻なテーマもジメつかせず描いたあたりは爽やかだし、最後に母国語へのこだわりを見せるあたりは好感が持てる。若い人が恋人とこういう映画を見れば、楽しく笑って幸せな気分で家に帰る事ができるだろう。それこそがロマコメの役目であり、本作はその任務を完璧に果たしてくれるはずだ。



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