『バンジージャンプする』65点(100点満点中)
あまりに意外な発想の感動ドラマ
NHKドラマ「美しき日々」も大人気のイ・ビョンホン主演の韓国製ファンタジードラマ。ヒロイン役はつい先日自殺した若手女優イ・ウンジュ。こうした話題性のため、マスコミ試写室は連日満員、私も一度、2分前に到着して門前払いを食らったといういわくつきの作品だ。
舞台は1983年。主人公の大学生(イ・ビョンホン)の傘の中に突然可愛らしい女性(イ・ウンジュ)が飛び込んでくる。奥手な主人公は、大胆な彼女に一目ぼれ、同級生だった彼女への必死のアタックの末、見事に愛し合うことになる。ところが彼が兵役に行く日、「必ず会いに行く」と言っていた彼女はなぜか姿を見せなかった。そして時は過ぎ、2000年。教師となった彼は、意外な場所で彼女の面影を見つけるのだった。
自殺した主演女優イ・ウンジュは、この作品内で出てくるある日付と同じ日に自殺したため、相当な話題を読んだ。まあその詳細は映画を見ていただくとして、『バンジージャンプする』はなかなか面白いアイデアのお話だ。
作中で描かれる自殺観が韓国ならではなのか、それとも作品独特なのかはわからない。しかし、主演女優が実際に自ら死を選んだとなると、ただではすまない重みが映画の中に漂う。彼女の演技は別段心に残るというものではないが、その影のある表情が今となってはある種の不気味さを感じさせる。
この作品は映像が大変きれいで、とくに二人の再会シーンなどは、その美しさで観客の涙を誘うに十分なすばらしいもの。愛とはわがまま勝手なもので、この映画に出てくる二人もまわりの大勢に迷惑をかけまくっているわけだが、それをさりげなく肯定している作者の主張には私も賛成だ。
ラストシーンをふくめ、鑑賞前にあまり多くのことを語れない作品であることがもどかしいが、見て損のないなかなかの佳作である。イ・ビョンホンのファンのみならず、静かな感動作がお好みの方がいたら、ぜひ劇場に足を運んでみてはどうだろう。