『ナショナル・トレジャー』75点(100点満点中)

大人でも楽しめるバランスいい冒険映画

頭は薄いがインパクトの強いお顔をもつ人気俳優ニコラス・ケイジ(「マッチスティック・メン」ほか)主演のアクション・アドベンチャー。ハリウッドNo.1のブロックバスター(=超大作)請負人ジェリー・ブラッカイマー(「パイレーツ・オブ・カリビアン」ほか)製作の、健全なファミリー・カップル向け娯楽大作だ。

歴史学者&冒険家の主人公(N・ケイジ)は、一族が先祖代々追ってきた秘宝を追い求め、世界を飛び回っている。歴史上の権力者とともにあったこの秘宝は、アメリカ独立戦争時の混乱で行方不明になっていたが、彼は合衆国独立宣言書にそのヒントが隠されている事をつきとめる。

主人公とその相棒は、金髪巨乳美女なのに知性的という、キャラクター的ギャップが新鮮な公文書管理者と協力し、その秘宝を探す旅に出る。歴史学者ニコラス・ケイジは、一見そうは見えないがとにかく頭がよい。その知性と豊富な知識を武器に、次々と謎を解いていく。

答えを見つけるのが早すぎるだろ! とか、あばれはっちゃくじゃあるまいし、理由もなくひらめくなよとか、せめて逆立ちかブリッジしろよとか、いろいろと突っ込みたい点はあるだろうが、このテンポのよさからくる快感は捨てがたい。

また、競うようにその宝を狙うワル軍団がいて、こいつらは知性では圧倒的に劣るものの、非合法手段をいとわぬ豪腕ぶりで、主人公ら優等生チームよりも優勢に立つ。このスリリングなストーリー展開は大味になりがちなこの手のアドベンチャー映画にしてはかなりのもので、大人が見るに耐えるクォリティを誇っている。

陰謀本ではおなじみの1ドル札や米国の有名建築物に謎解きのヒントが隠されているという設定もなかなか新鮮で、名所をあちこち移動しながら小気味よく謎解きをみせる映像的なスペクタクルもなかなかのもの。登場人物らの間で交わされるユーモアあふれる会話も楽しい。

人間描写より、ストーリー展開の面白さを重視したつくりで、それがまた大正解。こうしたお気楽大作映画に対する観客の期待を裏切らない出来映えには感心するばかりだ。

結末も、非常に気持ちがよくさわやかだ。宝の正体もじつにいいではないか。ああいうものはやっぱりビッグバジェットのアメリカ映画で見たい。満足満足。

上映時間は131分間と長めだが、退屈は一切なし。大画面とすばらしい音響で、冒険の世界に旅立とう。



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