『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月』85点(100点満点中)
30代男女に最適な楽しい一本
全世界の負け犬女性(30代独身彼氏ナシ)の共感を呼び大ヒットした前作『ブリジット・ジョーンズの日記』の続編。監督は変わったものの、主要キャストの変更はなし。
仕事も恋もダメダメな主人公ブリジット(レニー・ゼルウィガー)にも、ついに念願の彼氏(コリン・ファース)ができた。ラブラブな日々が過ぎ、二人の仲は順風満帆と思っていた矢先、彼氏と美人秘書の仲むつまじい姿を目撃してしまう。幸せな日々は一転、疑心暗鬼にとらわれるブリジット。グッドタイミングで現れた女たらしの元上司(ヒュー・グラント)からの誘惑。ああ、まだまだ本当の恋の幸せは遠いのか?!
とにかく抜群に面白い、笑いの止まらない第二弾である。飛び出すギャグすべてがクリーンヒット、前作で大笑いした人ならたまらないネタが連発だ。
主人公ブリジットを演じるレニー・ゼルウィガーは、前作に輪をかけたような激太り。これぞ幸せ太りというヤツであるが、まあよくぞここまで肉をつけたもんだと感心する。彼女の姿がスクリーンに映るたびに笑いを誘うほどの重量増で、これでは体重増減で有名なデ・ニーロも脱帽だ。
前作でブリジットは、中身がまったく成長しないまま、映画的ご都合主義のおかげで見事に彼氏をゲットしたわけであるが、考えてみると彼女の中身がまったく前作から変わっていないおかげで、今回も同じギャグの繰り返しを笑えるわけで、これはこれで意義があったといえなくもない。そもそも彼女は世の「負け犬女性」たちの感情移入先であり、彼女らの多くは(負け犬でありながらも)頑固に自分を変えない人たちなのだから、ブリジットが下手にいい子になってしまってはこの映画は成立しないのだ。ブリジットはあくまで「だめ女」のままで幸せになってもらうほうが、彼女たちはカタルシスを得られるのだ。
それでは男性観客はこのシリーズを楽しめないかというとそれはまったく逆で、むしろ現在増殖中の「あせる女性」の心理、くだらない事に右往左往するこっけいな様子を高見の見物できるという、一種の優越感を伴った見方で楽しむことができる。この映画のファンには意外と男性が多いという話を聞くが、さもありなんである。
『ブリジット・ジョーンズの日記2』は、前作同様サントラがすばらしく、見終わった後に幸せ気分になれる。ヒュー・グラント(ロマコメの相手役はいつもこの人だ)ら脇を固めるおなじみのキャストも手馴れたもので、製作側、演技者側の圧倒的な自信すら感じさせる安定した出来映えになっている。
これは、30代前後の男女にとっては非常に楽しめるロマンティック・コメディだ。昨年の12月に試写を見て以来、私も公開がずっと楽しみであった。さあ、果たして誰を誘っていくべきか、考えるだけでわくわくする。思いっきり負け犬条件を満たした女の子でも誘っていって、普段してやられている分、横でゲーラゲラ笑ってストレスでも発散してこようか。その後どうなるかを考えるととっても恐ろしいが。