『ロング・エンゲージメント』75点(100点満点中)
オドレイ・トトゥのヌード目当ての人も、作品の出来の良さに満足するはず
ミニシアター系の作品としては記録的な興行成績を持つ『アメリ』の監督(ジャン=ピエール・ジュネ)と主演女優(オドレイ・トトゥ)のコンビによる、感動の戦争ドラマ。
舞台は第一次大戦下のフランス、主人公(A・トトゥ)は純粋な心を持つ足の不自由な少女。ある日、彼女の元に恋人戦死の報が届く。しかし、彼の生存を信じる彼女は、私立探偵を雇うとともに、私財をつぎ込んで自らも彼の足跡をたどってゆく。
『ロング・エンゲージメント』は、一人の心やさしい少女が、死んだとされる恋人の行方を必死に捜し歩く物語だ。恋人を探すヒロインのパートと、過酷な戦場で何が起きたのかを描く彼氏のパートに大きく分けられ、交互に物語が展開する。
音響効果抜群の戦争シーンは、直接的な残酷描写も含まれる相当リアルなものになっているが、全体としては「アメリ」を彷彿とさせるファンタジックで美しい映像美を堪能できる。生死のわからぬ彼氏をひたすら愛しぬく純情なヒロインの姿も、時にコミカルなシーンを交えて描き、どことなく「アメリ」のヒロインを思わせる。
このヒロインによる恋人の行方探しの過程だが、ミステリとしてみても十分楽しめる。フランス風のややこしい人名を覚えるのは大変だが、なるべく早い段階で登場人物識別を行えるよう、気合を入れて冒頭から見てほしい。地名や年代はあとでかまわないのでまずは人名! それを念頭に置いて挑むことをオススメする。
私立探偵や新聞配達人など、ユーモラスで愛すべき脇の登場人物たちも魅力的だが、やはりこれは主演のオドレイ・トトゥのための映画といっていい。スクリーンから発するオーラは一作ごとに増し、若くして最近は大スターの風格を備えてきた彼女。脱ぎっぷりのいい所も魅力で、本作では全裸でのマッサージシーンで真っ白なお尻をアップで見せてくれる。ただのやせっぽちかと思いきや、"オンナ"として抜群のプロポーションの持ち主であることが確認できる。男性ファンは必見といってよい。
感涙のラストシーンから伝わる作品のテーマも説得力がある。たとえオドレイのSクラスの裸体を目当てであってもかまわない。それでも最後まで見ればきっと満足できる、「ロング・エンゲージメント」はすばらしい作品だ。